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また今回も、青いお話を綴らせていただきますね。
大学卒業のころの話しです。
ぼくが通っていた大学は、練馬区にありました。
卒業を機にアパートを引き払い、『多摩川園』という駅がある街に引っ越しました(今、多摩川園駅は、多摩川、という駅名に変わっています。部屋は風呂なし、トイレ・台所共用)。
ラッパの練習場所を確保すべく、川の近くに住もうと考えたのです。
大学のそばに住み続け、練習は大学に忍び込んで行う、という手もあったのですが、ここは区切りをつけるべきと考え、遠いところに引っ越しすることにしました。大学生活があまりに楽しかったので、それを引きずるべきではないと…。あ、女子とどーのこーの、ということはほとんどない大学生活だったんですけどね。
さてさて。
今日のお話は、「多摩川園」に引っ越した当時の、甘酸っぱいお話です。
ところでぼくは、大学を卒業する年の秋から、とある編集プロダクションで週3のバイトをしていました(病院の宿直のバイトと掛け持ちで)。編集者見習いみたいな仕事でした。
そこに、週1でバイトに来ている女子大生がいました。女子大の中でもトップクラスの大学の、4年生でした。
小柄で、頭がよく、そして突っ込みが鋭く、かつ、つれない人でした。
それらは、すべて、ぼくの好みと合致しています。
なので、22歳のおーた青年は、その女子のことが大好きでした。
勇気を出して映画に誘ってみたこともあります。彼女は言いました。
「映画は観たいものがない。美術館になら行ってもいい。招待券が1枚あるから」
ぼくは喜々として美術館にお供させていただきました。彼女は招待券を持ってますんで、ぼくだけ当日券を買って入りました。すっげー人混みで、途中はぐれました。出口で奇跡的に再会でき、「あ、いたんだ」とか言われつつ、一緒にお茶とかさせていただきました。
そして、そろそろ卒業が近くなったころ(お互い、バイトをやめるのが間近になったころです)。
そのときは、ぼくはすでに多摩川園での生活を始めていました。
意を決して電話し(当時は家の電話です)、また遊ぼう、と投げかけました。
彼女は、こう返しました。
「そういえばこの前、東大生の男の子のアパートに遊びに行った。その子がご飯を作ってくれて、それが楽しかった。私、自宅だし、風呂なしアパートって珍しかったし。おーたくんもご飯を作ってくれるなら、アパートに遊びに行ってもいいよ」
きったっ〜!!!!!!!!(織田裕二×8倍くらいのテンションで)
ぼくは、いろいろな期待に胸を膨らませました。
とっておきの料理を振る舞おうと、即、書店に走りました。『クッキングパパ』という漫画本を購入し、その中にあまた掲載されている男の料理レシピから、博多名物『がめ煮』のヤングバージョン、『ヤングがめ煮』を作ることを決意しました。
ちなみに、当時のぼくは、博多とは縁もゆかりもありませんが。
コーラで煮込むというレシピの珍しさに「これで彼女のハートも鷲づかみできるのでは?」と妄想したわけです(…?)。
で、当日の昼。
唐突にぼくの部屋の電話が鳴りました。なんじゃらほい、と電話に出ると、大学の同級生(男子)K谷くんでした。
彼は、4月から大手証券会社への就職が決まっていて、住まいも会社の寮に入ることにしていたんですね。そして、卒業試験後、ひと月間くらいインドに旅行に行っていたんです。アパートを引き払って旅行に行っていました。
彼は電話でこう言いました。
「日本に帰ってきたのはいいが、就職までの間、寝泊まりする場所がない。毎日、いろんな人のところに泊めさせてもらっているんだが、今日だけはどーにもならない。最後の切り札でしょうちゃん(ぼくのことです)に電話した。なんとか今夜だけ泊めてくれないか」
いやいや、待てよ、と。
ぼくは事情を話し、今夜だけはキミを泊めるわけにはいかないんだよ、分かってくれ、と説明しました。しかし、彼は、とにかくどーにもならないんだ、もう頼れるのはぼくしかいないんだよと…。
そこまで言われるとしょうがなく…。
「分かったよ。でも、できるだけ遅い時間に来てくれ。遅ければ遅いほどいい。分かってくれるな」と…。
さて、夕方彼女はやってきました。ぼくは『ヤングがめ煮』を彼女の目の前で、一生懸命作っていました。
で、K谷…。7時前には、もうぼくんちに来やがりましたよ…。
友人に対して殺意を感じたのは、多分、あれが最初で最後でしょうね…。
3人で、『ヤングがめ煮』を食べました。
インドの土産話を満載してやってきたK谷の独壇場となりました…。
あー、長くなりすぎましたね…。
K谷は、ただの面白いやつですから、彼女が惚れてしまうこともあり得なかったんで、それはいいんですけど、これをきっかけに(K谷とは無関係に)ぼくの恋は急転します。
それは次回で…。
そんなこんなでぼくは、今日もラッパを吹いて暮らしています。