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2012/02/02

はじめまして! 45歳・男 太田祥三と申します。

ラッパを吹くことをライフワークとしております。ラッパとは、トランペットです。

小学4年生のときに、学校の「鼓笛隊」に入りラッパを始めました。しかし、中・高はやっておりません。本格的に始めたのは18歳の春。大学の「ジャズ研」に入部し、トランペットを希望しました。

今回は、自分にとってラッパとはどんな存在なのか、というテーマで書かせていただきたいと思います。

ラッパは、正直、つらい楽器です…。息が苦しいということではなくて、なかなか上達しないんですよ…(自分だけか…)。昨日は良い音がしていたはずなのに、なぜ今日は昨日のような音がでないのだろう…、と落ち込むことも多いです。本当に多いんです。

ジャズ研時代に読んだとあるジャズ専門誌で、若手トランペッターがインタビューに答えてこんなことを言っていました。

「日々の精神状態は、トランペットの調子に左右される。トランペットの調子がいいと心も晴れやかで、調子が悪いと暗い気持ちになる」

この言葉に、いたく共感した記憶があります。あー、プロでもそうなんだな…、と。

さて、『トランペットの調子』とは何を意味しているのでしょう。ずばり、「良い音が出るかどうか」ということにほかなりません。

「楽器が鳴るかどうか」と表現することもありますが、もちろん楽器自体のコンディションの問題ではないんです。さらに言うと、「耳で聴いて、その音が良いか悪いか」ということでもないんです。唇が「よく鳴っている」感覚、これがすなわち、『トランペットの調子』です。自分にしか分からない感覚なのかもしれません。人が聴いても、調子が悪い時の音と、良い時の音が、同じに聴こえることもあると思います…。

ところで。

トランペットは、分類でいったら「金管楽器」。しかし、サックスは「木管楽器」。ご存じでしたでしょうか。同じ「管楽器」なのですが、サックスは「金管」ではなく「木管」なのです。

その理由は、音を生み出す薄い板状のパーツ=「リード」が、木質材料で出来ているから、です(プラスチックや合成繊維の場合もありますが)。マウスピースにリードをセットし、そこに息を送り込みリードを震わせ、音を発生させているのです。サックスは。

しかしトランペットはリードを使用しません。マウスピースを当てた部分の唇を振動させて音を生み出します。人間の体の一部=唇が音の発生源である、というところが、トランペットの難しさを決定付けていると言っていいと思います。

サックス奏者は、音色の追求のためにリード選びにもこだわりますが、トランペット奏者は、唇を交換するわけにもいかず…。

そして、やっかいなことに、唇のコンディションは、毎日、一定ではないんですよね。練習をしすぎた翌日は、疲労からか、極端に調子が落ちたりしますし、睡眠時間が短かいことで調子が落ちることもあります。そして、理由も思い当たらないのに今日は絶不調、なんてことも多々ある、というわけなんです。

ライブの日に調子をピークに持っていこうと思っても、思惑通りにいかないことも多いですね…。唇のコンディションをコントロールすることが、本当に難しいんです。

練習を休むなんてのは、もってもほか。2、3日休めば、前の調子に戻すのに4、5日かかってしまいます。

毎日吹かないと調子は落ちます。しかし毎日吹いていても調子が悪い日がある。練習している自負があるのに調子が悪い日がやってきたりすると、ほんと、げんなりします…。

因果な楽器です…。

と、自分がなかなか上手くならないことに関しての言い訳が、すごく上手にできた気がします(そうでもないか…)。

そういうわけで、ぼくは基本、毎日練習をしたいと思っています。大学で始めてから、丸27年になりますが、もうちょっと上手くなりたい一心で続けてきました。そして、まだ上手くなっていないのに、今さらやめるわけにはいきません。死ぬまで上手くなり続ける、そして、死ぬ直前には、「あー、よくぞここまで上手くなれたものだ」と思って死にたい…(あんまり上手くならなかったな、と思って死んじゃったら嫌だけど…)。

ちなみに、これまでの活動遍歴はこんな感じです。ジャズをやっていたのは大学の4年間だけ。大学を出てからは、社会人をしながら、レゲエバンドに参加(ホーンセクションをやってました)、30歳くらいで新たにブラジル音楽のカバーバンドを始め(ボーカルなしの、ワンホーンのバンド)、その後、オリジナルポップスバンドに加わり(ボーカルありのワンホーンのバンド)、そして自分がリーダーのブラジル音楽に影響されたオリジナルポップスバンドを結成(このバンドも、ボーカルありのワンホーンのバンド)、というのが、活動遍歴です。今のバンドは、結成してから11年目を迎えました。

ボーカルのメロディに対してのカウンターメロディを吹くのではなく、コーラスのように吹く、ときには敢えてユニゾン(同じメロディを吹く)で、ということを独自のスタイルとして追求しております。

というとカッコつけすぎですね。

それしかできないんじぇね? と思われても返す言葉もない…、というのが実情でしょうか…。

まあ、細かいことはやらずとも、音に気持ちを込めることに専念してみよう、というところです。特に、長く伸ばす音を、いかに良い音で、そして気持ちを込めるか、ここに重きを置いています。ビブラートはかけません。ぼくがもっとも尊敬するトランペッター、マイルス・デイビスが、基本、ノンビブラートで吹くからです。

ちなみに、レゲエバンド時代には、一時代を築いた人気TV番組『イカ天』に、2度出演したことがあります(その週の1位になったこともあります。しかし、『キング』には破れ、翌週も出演することは叶いませんでした)。インディレーベルからCDも1枚出しました。そして現在のバンドでも、2011年の12月に、遂に自主レーベルを立ち上げ、8曲入りのミニアルバムを出しました(バンド名を『3-4-3』といいます。
http://www011.upp.so-net.ne.jp/ok3-4-3/

なんか、長くなってしまって申し訳ないです。ここまでお読みいただけたこと、深く感謝いたします。ありがとうございました。

とりあえず、これがぼくのざっとしたラッパ吹き人生遍歴です。

とにかく、調子の良い日を増やしたい、そして、もっともっと上手くなりたい、という気持ちは、昔も今も変わりません。むしろ、その気持ちは年々強くなっています。人生の残り時間が少なくなってきていますから、焦っているのかもしれません…(90歳くらいまで生きるつもりですが)。

さて、結論です。

ラッパの道は、厳しいです…。

でも、そこが楽しいんです。

ラッパは、ときにはぼくを突き放し、あるときはもっともぼくを喜ばせてくれる存在…、そんな感じです。

2012/02/02 04:32 | ohta | No Comments