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LET SLEEPING CORPSES LIE(1974) @IMDB
DON’T OPEN THE WINDOW[米]
FINDE SEMANA PARA LOS MUERTOS [伊]
THE LIVING DEAD AT MANCHESTER MORGUE [英]
NO SE DEBE PROFANAR EL SUENO DE LOS MUERTOS [スペイン]
NON SI DEVE PROFANARE IL SONNO DEI MORTI
BREAKFAST AT THE MANCHESTER MORGUE
別題がいっぱい。字幕も多かったです。本編は750枚少しで、多くはないのですが、特典が合計で1300枚弱。文字数で言ったら余裕で本編の倍ありました。まあ、当然と言えば当然でもあります。本編の長さが94分なのに特典は100分以上ありますから。ところで特典の多くはイタリア語です。今回もこのイタリア語部分には「ザ・リッパー」のようにon/off可の英語字幕が付いていたので、それを基に翻訳していきました。いわゆるダブルトランスレーションですが、今回の英語字幕は「ザ・リッパー」と違って少し怪しい。20秒くらい出たままのものもある。3センテンス話しているのが分かるのに英語では2センテンスになっていたり…。「大丈夫か?」と思いつつ、分かる単語もあるので「これが落ちてるな」なんて手探りで訳します。そしてチェックの段階で、案の定ありました。レイ・ラヴロックが当時を回想する特典の英語字幕で、過去作を「The Deadly Trap」(=「パリは霧にぬれて」)と言っているのですが、実際は「UN POSTO IDEALE PER UCCIDERE」(LOVE STRESS)(=「ガラスの旅」)という作品名を言っていました。英語字幕に頼っている弊害です。(そういえば、「ザ・リッパー」でも作品名を間違えているところが1つあったのですが、それはゾーラ・ケロヴァ本人が作品名を言い間違えているためで――自分の出演作のタイトルを間違えるなよ~――、そこは単なる間違いと断定し、字幕では勝手に正しいタイトルに直しました。彼女がわざと違うタイトルを言っている可能性があるなら直しませんが。)
さて、本作で最初に登場するゾンビさんはガスリー・ウィルソンという役名があります。彼、かなり怖い。スタスタ近づいて来る様子が怖い。表情が怖い。「影武者」の終盤の影武者(仲代達也)のようで怖い。
まあ、それほど怖くないです(どっちだよ?)が、雰囲気が怖い。ロンドンを東京とした場合、新潟あたりの感じかな。湖水地方を舞台にスタスタと、時にはノロノロとゾンビが歩きます。ビックリする要素はいくつかありますが、この作品の場合、音もジワジワ怖く、動きもジワジワ怖く、淡々と怖いです。
このタイプの怖さは今では単に控え目とか、地味とか、下手をすると退屈なホラーになるのでしょうが、味があって好きです。
日本のスクリーンで初めて人を喰うゾンビが登場した(1975年6月日本公開)のが本作だったようで、それを考えると当時は相当インパクトがあったでしょう。当時の宣伝文句は「臓物をひっぱり出して喰いたい!かさぶたをはがして生血を吸いたい! 重い墓石をはねのけて、冷たい土の中から一斉に立上った死人たち!」。ポスターやチラシのビジュアルはちょっと成人映画と誤解しそうな物でしたが…。(うちの近所のタバコ屋さんに、このポスターが貼られた記憶はないです。もし貼られていたら覚えている気がするくらい、小学生にはインパクトのある「成人映画」っぽいポスター。)それから当時の配給は日本ヘラルド映画で、この作品を「悪魔」シリーズ第3弾と銘打っていました。『“はらわた”“いけにえ”に続く――悪魔シリーズ第3弾 悪魔の墓場』です。スティーヴン・セガールが出てくると何でも沈黙しちゃうのに似ていますが、どっちも強引です(笑)。
それから、キロとマイル。この作品では距離をマイルで言っています。たいていの場合、これはキロに換算しますが、本作では1マイルと3マイルと5マイルしか出てきません。換算すると中途半端になってしまう上、この3つの距離には意味があるので、全部マイルのままにしました。
タイトルバックのテーマ曲が当時の仮面ライダーのサントラっぽかったりして。
時代の空気が詰まった怖さ。以前訳した「ウィッカーマン」を、ほんの少し、思い出させるのは作られた時期が近いせいなんだろうか。村社会の閉鎖性の象徴みたいな巡査部長が出てくるせいか…。どうも最近、まとまりのない文章になってますが、興味があったら、ぜひどうぞ。