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こんにちは。根本齒科室の根本です。
大変遅くなり恐縮ですが、本年もよろしくお願いいたします。
さて、わが国にとって非常に大きなインパクトを残した年、2011(平成23)年が
やっと終わりました。
考えてみたら、私がこのJunkStageの末席を汚すことになったのも昨年6月でした。
まさに震災後の混乱の時期です。
歯科医師としての私も、震災やその後の混乱から多くのことを学んでいました。
ケガの功名とでもいいますか、このことがなければ気がつかなかった、あるいは
はっきり意識に上ることもなかった多くのポイントや反省点がありました。
なかでも一番大きかったことは、これです。
ここでも述べましたが、歯科と医科は逆の性質であるという点に
改めて気がついたことです。
言われてみれば当然のことといえばそうなんですが、私にとっては
このことに気づいたのが本当にデカかったです。
「性質が逆なので対応も逆になるべきだ」という、何とも当たり前の事実に・・・
震災前からずっと絡まって悩んでいた多くのことが、この概念ですっと腑に落ちました。
◆ なぜ予約を軽々しくたこってキャンセルする人が多いのだろう
◇ なぜ治療を1回で終わらせずに何回も通わせるのだろう
◆ なぜ定期健診やメンテナンスに来ない人が多いのだろう
◇ なぜ困っても痛くもないのに歯医者に呼ばれるのだろう
◆なぜ”良い治療”を勧めても乗ってくれないのだろう
◇ なぜ保険医なのに保険が悪いような物言いなのだろう
etc
私◆も悩んでいましたし、患者様◇も悩んでおいでの方が多かったと思います。
しかしそのお互いの悩みを解決するために『何をどう』皆様にお伝えするのが最良か
自分の中で今ひとつうまく整理できていませんでした。
この表については、後段で簡単に敷衍します。
2011年に東日本大震災がなかったら、どうなっていたでしょうか・・・
2010年ごろは、何かの販促の本の「織り込みチラシが良い」というのを真に受けており、
2011の年初には、年賀風のチラシも新聞折込に入れてみました。
当時の私が必死な感じが思い出され、心なしか面映い感じがします。
もちろん結果(反応率)はといえば (‘A`)
3月に、ご案内のとおり東日本大震災が発生しました。
借金を抱えた一個人事業主としては、「・・・終わった」というのが正直な実感でした。
このあたりの当時の詳細については、当歯科室の院内新聞に詳しく記載してあります。
この号は3月末が締め切りだったのですが、紙面も大変慌しく苛立ちと焦燥感にあふれ、
今見てもとても正常な心理下とはいえません。
ちょうどその頃、「織り込みチラシが良い」パート2の企画があり、近所に5000部くらい
撒く予定がありました。
しかし当然ながらとても「どうぞ私の歯科医院にいらっしゃい」などと不謹慎すぎて
書く気など起こりません。
考えた結果、私を捨てて公~地域に役立つことだけに絞って紙面を作ることにしました。
それがこれです(A4-PDF2M注意)
お見舞いがてら、このときに当歯科室で非常に特徴的に起こったことに絞り、
そのことから見えてくる普遍的な「歯を大事にする考え」だけを伝えることにしました。
これは折込ではなくポスティングで入れたのですが、後で複数の患者様に聞いたところ
「えっ、そんなの気がつかなかったよ」
・・・orz
当時は、なぜ予防中心が良いのかと言う理由として、「プラスの世界・マイナスの世界」
という概念を考えていました。簡単に言うと、
治療(歯科医師)はマイナスをゼロ近傍に戻す役割
予防(衛生士等)はプラスをよりプラスに上げる役割
ということです。
この頃作成した小冊子(今もあります)の中の挿絵に、いみじくもこのような物があります。
(ああ絵が下手すぎて恥ずかしい)
もちろんこれは間違いではありません。プラスの世界を維持することは大事です。
空中を飛ぶインプラントに跨っているモロAA風の歯を見ると若干営利目的の香りがしますが、
それでも精一杯客観性にも配慮した概念のつもりです。
しかしどうもパンチに欠けます。
魅力的(かどうかは別として、それに訴えたよう)な概念ですが、必要性が感じられません。
人間には一定の愚行権があり、法的にも保証されているからです。
このように、当時の私は、周囲に何かを伝えないといけない、と焦っていました。
そこに震災が起こり、混乱の中で多くの人がいろいろなことを言ったりやったりしました。
ひょんな人伝で桃生苑子様をご紹介いただき、こちらの末席を汚すことにもなりました。
ここのコラムでいろいろ書いてきたことは、自分が得ている知見とか考えを書いて
読者の皆様のお口の健康に対する考察の一助になればという意図もありましたが、
昨年の拙いコラム群を振り返ってみると、コラムを書くことによってはからずも
(自分の今までの考えは何だったのか)を整理する機会でもあったことに気がつきます。
書いて→悩んで→まとめて→書いて(以下無限ループ)
↓
たこって
おぼろげながら見えてきた、自分の頭の中の鳥瞰図を、ぎゅっと濃縮したのが、
一番上に示した表だった、と、2012年初頭の私には言えると思います。
「この表の意味は?」という方は下のバナー(当歯科室HPです)をクリックしてください。
トップページ中盤にこの表の言わんとする点についての簡単な説明があります。
現段階では、歯科医師の自分自身に対しても、この概念が一番説得力があります。
よく「予防が大事」とか「定期健診に行こう」とか書いてある歯医者のホームページが
たくさんあるじゃないですか。
分からないではないけど、微妙に胡散臭くありませんか?
しかし、この表の概念、歯科と医科は基本逆の性質という概念は、一切ブレません。
仮に今までどおり、「痛くなったらあわてて」などのオンデマンドで来院して、
治療が終わったらはいさようなら、健診何それ?式の行動様式を考えてみると、当然
症状が後手に回って思いのほか被害が拡大するリスクが高まる
一度失うと戻らない、かけがえのない歯を大幅に欠損するリスクが高まる
という結論が導かれます。
逆に、自然治癒して、回避不能である、急な事故や怪我、意図せぬ感染症では
予防とかほぼ無理なので、オンデマンドの対応しかないことも合わせて分かります。
・・・よし、今年はこれでのんびり逝くか!
ということで本年もたまにはよろしくお願いいたします。
【今回のまとめ】
自分が強く信ずる考えは案外他人に伝えにくいが、継続的な伝達の努力が大切