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こんにちは。タモンです。
今回は大河ドラマ「平清盛」第一回を見た感想にしようと思います。
なおの真似をして、「平清盛」の感想を忘れないうちに書くのが今回の目的です。
なぜなら、予告編を見て「面白そう」と思って見たら、予想以上にハマりそうだからです。
なんだが議論を巻き起こしているようですが…。
私には、いずれの批判も、ドラマ全体の致命傷になるような瑕瑾ではないと感じました。エネルギーを感じたんですよね。
以下、番号をふって、私が面白いと思った魅力をつらつら書き連ねていこうと思います(箇条書きなので、「である調」にします)。
1、ホコリっぽさが際だった画面
色調を押さえ、埃が舞い上がる感じを際だたせていた画面に釘付けになった。そうそう!こういう演出の平安末期ドラマが見たかったのよ!馬小屋で忠盛と舞子が争う場面とかね。朧月の子どもが死体から物を盗もうとする姿も、『羅生門』の世界っぽくてよかった。
なおが見た(私も見た)『源氏物語~千年の謎~』で描かれる豪華絢爛な画面は、それもフィクションとして「アリ」だ。だけど、リアルを追求すると大河みたいな感じになると思う。平安貴族の実際の生活を垣間見ているような感じや、画面の質感が映画を見ている感じなのも良い。
2、松田聖子の眉毛
1のようにリアルを追求した一環なのか、女優さんの眉毛が薄い。とくに北条政子役の杏なんて、眉毛なかったし(いや、化粧で隠してるんだろうけど)
そのなかで、松田聖子演じる祇園女御だけ眉毛くっきりで面白かった。そうすることで「特別」に見えるし、彼女のぽちゃっとした頬がキュートに浮かび上がる効果が生まれていたと思う。ぽっちゃり頬は公家の特徴だし。
祇園女御はその名の通り、出身が祇園社であったことからつけられたらしい。ドラマでは出自を白拍子と言っていたが、(さまざまな説があるものの)もとの職業は水汲女だったようだ。どちらも春を売る側面を持っていたことは共通する。『今鏡』が「三千の寵愛、ひとりのみなり」と記すように彼女が白河法皇の寵愛を一身に受けたことは、祇園社の南東に豪奢な祇園堂を建てたことでも窺える。平清盛は祇園女御の生んだ子であるとの説があるが、現在は、女御の妹が産み、生母の死後清盛を養育したとする説が有力である。
3、白河法皇役の伊東四朗と鳥羽天皇役の三上博史が好き
伊東四朗が悪役をやっているのを初めて見た。ほんとうに底意地悪そうで…。三上博史が嘆いている姿も好き。直衣が意外と似合ってびっくり。思い詰めるタイプを、涙を目に溜める演技で表現していたと思う。ドラマ「リップスティック」や舞台「三文オペラ」を見て好きなんだな。
鳥羽天皇の女御・待賢門院璋子は白河院の養女。義父と関係をもち、鳥羽天皇の子どもとして男の子を産む設定だ。この展開、鎌倉時代からまことしやかに囁かれていたのもので、鎌倉時代の説話集『古事談』には、この男の子こそ白河院の子どもであり、その事実を憎んだ鳥羽天皇がその子を「叔父子」と呼んだ、と書かれている。すさまじい蔑み。その男の子こそ、後の崇徳天皇である。この公然の秘密は、ドラマでも保元の乱の遠因ともなっていくだろう!!間違いなく!!
ちなみに、璋子に対して、西行も恋心を持っていたとする伝承がある。恋の懊悩のため、出家してしまったとも(現在ではほぼ否定されているが、辻邦生『西行花伝』ではその説を踏襲している)。どんだけ色っぽかったんだ、璋子。なお、後白河天皇の生母も彼女である。誰が演じるんだろう。
4、人間・清盛の魅力がでてくるのではないか!?と期待させる
「犬になりたくなければ、強くなれ」と養父忠盛に言われた平太(清盛)。来週、楽しみだ~。
『平家物語』に描かれる平清盛は極悪非道の人物として描かれている。高校時代、「祇王」やったなぁ…。あれで血も涙もない平清盛像ができあがったんだよなぁ…。しかも、『平家物語』で描かれる平清盛の最期は、「あっち死」といって焼かれるように苦しみながら死んでいったと書かれている。このような悲惨な最期は、自身の反対勢力であった東大寺等を焼き討ちにせよと息子・重衡に命を下したための仏罰だ、と噂された(『百練抄』。
この人物像は『平家物語』によって作られたもので、一面的であるのは否めない。
だから、平清盛は「公家」から「武家」の世を草創した開拓者としての側面を取り上げてもいいと思っていた。別にオリジナルというわけでは全然なく、最近の研究動向全般がそうなんです(吉川弘文館『平清盛』五味文彦、山川出版社『平清盛』上杉和彦などなど)。
だって、非道いことって言ったら織田信長も相当非道いよ。日本人って、日本人っぽくない日本人、本当に好きなんだよね…。坂本龍馬とか。
今回の大河は、新しい清盛像を創るんだっていう意気込みを感じました。以前の大河を見ていないので、間違っていたらごめんなさい。切り口次第で、こんなにも違った人物像を見せられるんだぞ!っていうのを期待しています。
たぶん、今後も感想を書くと思うタモンでした。