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激動の2011年もあと残りわずかですね。
というわけで、まだ連載第2回目ではありますが、年末につき、
2011年のフリーダイビング界の出来事を振り返ってご紹介したいと思います。
フリーダイビングの前知識のない方にとっては、聞いたことのない用語や人物が
いきなり出てくるかと思いますが、どうぞご容赦下さいませ。
それでは、独断と偏見による、「2011年フリーダイビング10大ニュース」時系列でスタート!
■二木あい、メキシコの洞窟でフリーダイビングでギネス記録達成(1月7日)
メキシコにセノ-テという、美しい水中洞窟があります。マヤ族の聖地であるこの場所で、
新年に日本人の二木あいが「The Longest Distance in cave with only ONE breath」
(洞窟の中一番長い距離を一息で泳ぐ)というギネス記録に挑戦し、見事成功しました。
・フィン有り… 100m (1分52秒) 世界で女性初の記録
・フィンなし… 90m (2分 02秒) 世界で人間初の記録
確かにフリーダイビングの技術や能力を生かしてはいますが、いわゆる競技としての
フリーダイビングとはちょっと異なる、とても独創的なチャレンジです。
彼女が追及するものは数字ではなくてあくまで「美しさ」。
水中映像や水中表現を通して海の美を探求する彼女、
人類というより魚類に近いのではないかという雰囲気で、
国籍不明、年齢不詳、不思議な魅力を持つ女性です。
来年どんなことをしてくれるのか、楽しみな一人でもあります。
詳しくはFaust Adventurers’ Guild 記事へ
「永遠の海の美しさを求めてセノ-テでのギネス記録挑戦」
http://www.faust-ag.jp/interview/interview027.php
■東日本大震災(3月11日)
日本人にとって、全ての価値観を覆された忘れられない出来事でしょう。
フリーダイバーにとっては、津波や放射能物質の海への流出などを通じて、
「海」というものの存在を改めて大きく感じる出来事でもありました。
都内のフリーダイバーがフィンを履いて練習が出来る貴重な場所である
東京辰巳国際水泳場は、震災の影響で3か月以上も閉鎖されました。
私自身、震災後しばらくは、またフリーダイビングを普通に出来るように
なるとは思ってもいませんでした。
でもこの出来事は、全国各地・世界各国にいる、海の仲間達の絆を改めて
強めてくれました。4月に海外遠征に出ていた選手は、世界中の選手からの
暖かいメッセージでいっぱいの国旗を持ち帰ってくれました。震災後すぐに
被災地支援活動を始めた沖縄チームのメンバーの奮闘で、前向きな活動に
目を向けることが出来ました。秋のイタリアの世界大会では代表チームが
沢山の募金やメッセージを集めました。
ちなみに、私は5月からこんなチャレンジを始めました。
「目指せマリアナ海溝!10,000m素潜りして復興支援」
http://justgiving.jp/c/6460?locale=ja_JP
私自身はこれをきっかけに、東北の海の復興活動を行う様々な人たちと出会いました。
来年はもっと色々なことを企んでいます。
■フリーダイビング・インドアカップ2011イン館山、開催(5月21日、22日)
毎年恒例、5月に館山で開催されるフリーダイビングのプールの大会が、
今年も予定通り開催されました。予定通り、ですが、今年に限っては、
大きなニュースでした。この大会のエントリー開始は4月半ば。
震災後、自粛ムードもあり沢山のイベントが中止される中、
「今年も開催します」
この日本フリーダイビング協会会長のひとことが、どれだけ明るく響いたか!
まだ通常営業していないプールも多い時期。選手たちは何とか練習場所を見つけ、
動き出し、2011年のフリーダイビング・シーズンが始まりました。
しかも蓋を開ければ今回の参加選手は過去最多の43名。
最年少は19歳・最年長は66歳。北は被災地宮城、南は広島、フランスからの
参加もあり、大いに盛り上がりました。この大会の好記録で世界大会にデビュー
する新人選手も生まれました。
2012年も5月19日、20日の2日間で館山大会は開催されます。
今度はフランスの世界大会団体戦の選考会でもあるので、
どんな熱い戦いが繰り広げられるのか、楽しみです!
あ、私も出場する予定です。(プールの競技は苦手なのですが・・・)
■沖縄大会(Deepwatercup2011 OKINAWA)、台風で中止(7月16日、17日)
沖縄で開催を予定していたこの大会、9月にギリシアで行われる世界大会の
最終選考会を兼ねていました。日本で行われる海洋大会は年に数回しかなく、
この大会の記録次第で、日本代表になれるかどうかが決まります。
まさに「ギリシアに行きたいかー?!」という盛り上がりで、多くの選手が
この大会を目指し、まだ冷たい初夏の海で練習に精を出していました。
私自身、当時の自分の記録は、ギリシア大会に行けるか行けないかの
ギリギリのポジションだったため、練習や調整を重ねていました。
ところが大会数日前、南鳥島沖に突如、超大型台風「マーゴン」が発生しました。
そして無情にも沖縄に向けて直進、確実に週末に沖縄を直撃するという予報。
大会5日前の夜に、主催者から「大会中止」の無念の通知がなされたのです。
選手も、主催者も、皆それぞれにショックでした。
でも、安全管理上やむを得ないことでした。
これが海という自然の中で行う競技の宿命なのです。
海の前では、人間は小さな小さな存在。自然には逆らうことなど出来ない。
ただ、受け入れるものだ。
そんな原点に気づかせてくれる、貴重な出来事でした。
私は既に渡沖前夜だったため、そのまま沖縄入りして、練習は出来たのですが、
ここで大きな教訓を得ることになりました。これもおいおい書いていきます。
さて、10大ニュース、ここまででまだ4つなのですが、ひとまず前編は終了です。
続きは後編で!