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地球の舳先から vol.212
日本/金沢編 vol.2 (全3回)
ミーハー、といわれようとも、星野リゾートが好きである。
星野リゾートは「日本再発見」というコンセプトで、国内でいくつものリゾートホテルを
経営しているのだが、その土地土地に合わせた、もはや宿泊行為自体が観光、
というような興味深い体験を提供している。
このコラムで紹介した中でいうと、三沢へ行ったときも星野リゾートに泊まったのだが
そこは、経営状態の芳しくなくなった宿泊施設と広大な土地を買い受け見事に再建したものである。
今後も、沖縄の竹富島や、富士山の麓に開業計画をもつ。
ここ、白銀屋も、星野リゾートがオリジナルではなく、創業は1624年。
380年にわたり前田利常公、北大路魯山人に愛され、有形文化財に登録されている。
チェックインからが、リゾート体験の始まりである。
「寝る」のではなく、旅館で「過ごす」たくさんの、ほかではない体験が用意されている。
チェックインは15時から。
これまた有形文化財の茶室で、抹茶とお菓子を振る舞われる。
樹齢200年の木々のある庭園は、秘密の中庭みたい。
隣接するカフェでは、加賀の茶器でおいしいコーヒーも飲める。
夜はバーになり、日本海の冷酒の4点盛り、などというものもあった。
夜には右写真の障子にうさぎの影絵があらわれる。
女性限定のサービスにはなるが、ここに色とりどりの浴衣が置いてあり、
部屋にももちろん浴衣の備え付けはあるのだが、好きな柄でうろつくことができる。
このあたりは温泉街で、旅館の外にもいくつかの温泉があり、みんな浴衣でうろつく。
そのあたりを考慮してのサービスなのだろう。
ちなみに夕食後はここで、無料のコーヒーゼリーのサービスがある。
部屋のフロアには「花の階」「蝶の階」などそれぞれに名前がついてあり、
ランプのともされた廊下は靴を脱いで足袋であるく。
部屋の中は加賀の伝統芸術そのままに、抜けるような赤と青。
旅館なのにベッド、という和洋折衷も、快適。
旅館にはもちろん天然温泉が引いてあり、2つの温泉は時間帯で男女交代制。
1300年という、伝統ある源泉である。
湯上り用に、加賀棒茶(ほうじ茶)も用意してあり、
入浴施設自体は大きくはないが、くつろげる。
部屋の中には、「小さな幸せ」がいくつも用意されている。
小さな2つの茶筒にはそれぞれ可愛い和紙でくるまれた緑茶とほうじ茶。
温泉前と湯上り、それぞれに飲むのがいいらしい。
もうひとつが、源泉パックというもの。
「本日汲み上げました」という札つきで小さな小瓶に源泉が入っており、
浸して、とれたての源泉でパックができるというものだ。
確かに温泉は肌にいいはずなのに顔をつけるわけにいかないため、これはなるほど商品。
時間がきたので、夕食へ。部屋出しではないものの、半個室に区切られている。
先付 万寿貝 山葵 加減醤油
八寸 季節果実の白和え 鮭の幽庵焼き 田楽白玉 からすみ 鶏と干し葡萄の松風
胡桃豆腐の茶巾揚げ 甘海老の老酒漬け酢橘釜 花びら大根 茸挟み
椀物 鱧と海老、松茸の土瓶蒸し 酢橘
御造り 日本海鮮魚の御造り取り合わせ
揚物 たたき海老の新挽き揚げ 加賀野菜の天麩羅
蓋物 蟹の養老蒸し ぶぶあられ 翡翠餡 山葵
焼物 のど黒の塩焼き からすみ添え 俵はじかみ 甘長とうがらし
台の物 鮑の若布包み蒸し 肝だれ
酢の物 毛蟹 酢ゼリー 加賀蓮根酢漬け 小松菜
食事 白米 止め椀 香の物
甘味 ほうじ茶のクレームブリュレ(5種から選択)
もうこれ以上は食べられない、というほど、加賀の和懐石を堪能して、眠りにつく。
この日が終わってしまうのが勿体ない!
朝は朝で、食堂で朝食。これまた、量が…。
お茶のサービスも静かにゆっくりと。こんなにゆっくり食事したのはいつ以来だろう。
帰りは、加賀温泉の駅まで送ってくれる旅館の車に揺られて、
ふたたび金沢市まで戻ったのだった。充電、完了!
つづく