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2011/10/31

皆様、おはようございます。

カルメンにはいくつかの有名なメロディがある。
開幕最初に鳴り響くプレリュードを筆頭に、
ハバネラ、闘牛士の歌など。

ハバネラはカルメンの登場シーンであるが、
この場面は、たばこ工場の女たちが、
街の男たちや兵隊たちなど、
男たちと愛を交わそうとして工場の外に出てきて・・
という中で歌われるナンバーである。
女たちの中でもカルメンは人気者で、
男たちはみんなカルメンと愛を交わすことを望んでいる。
しかし、言い寄られれば避け、
無視するような男(ここではドン・ホセ)に目を付けるのがカルメン。

正直これだけの設定でも、初演当時の観客にはショッキングだったのだろうが、
少し冷静に考えてみた時、類似のことが現代に起こっている。

工場という、少数ではないがある特定の女性たちを抱えている組織があり、
男たちがその女性たちを品定めして恋をしかけ、肉体関係を持つ。
カルメンの原作を前提に考えてみた時、
このようなシチュエーションは、現代には風俗という形で残されている。
(原作では、カルメンははっきり娼婦と設定されている。)

多少原作とオペラとの違いを差し引いて考えるとしても、
この工場の女性たちは、現代でいえば、
休日だけ風俗で働くOLのようなものと考えれば早い。

さて、これだけのことでは、
現代の風俗で起こっていることとの共通性、といっても
あまり説得力はないであろうが、私が目を付けたのは、
特定の風俗店に関する2ちゃんねるでの情報のやりとりである。
ためしに2ちゃんねるの風俗店の掲示板から、
適当な店のスレッドを選び出して見渡してみるといい。

本番行為はないはずのヘルスのスレッドであれば、
どの風俗嬢が本番(基盤とか基、というのが本番の意味)させてくれるか、
というレポート情報や、
そもそもこの店の風俗嬢たちは本番させてくれる傾向があるのかないのか、
という問いや答えが満載である。
本番行為が前提のソープランドのスレッドでは、
どの泡姫がコンドームなしの生本番(ノースキン、NSと表記される)ありか、
そういう問いや答えが並べられている。

実に様々な形で本番のありなしなどが書き並べられているが、
どうやら底に流れている欲望としては、
他の客には本番を許していない姫が、自分には許してくれる、
というシチュエーションに対する憧れ、優越感があるようだ。
このような感情の渦を見ていると、
ハバネラシーンの男たちの間にある心理が理解しやすい。

こういうことだ。
タバコ工場の女たちが休日に開く「ヘルス店」では、
たいていの女は本番行為を簡単に許す傾向があるようだ。
しかし、カルメンだけはよほど気に入った男にしか許さない。
一体カルメンが誰に許したか、ということが男たちの関心の的だ。
カルメンと本番したことはこの集団の中ではステータスとなる。

このようなオスの心理を理解して演じれば、
演技のテンションは根底から変わってくるに違いない。

2011/10/31 12:05 | bonchi | No Comments