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2011/10/21

LGBTについて正しい理解をするのは、なかなか難しいものです。しかし、明らかな誤解は避けたいものです。

以前、レインボーサポートネットの活動が新聞に載った際に『性的少数者の法的手続支援・よろず相談』と見出しが付けられていました。LGBTはセクシャルマイノリティ=性的少数者であるので、見出し自体は間違っていないのですが、それ以降レインボーサポートネットの寄せられる相談の中に、LGBTとは無関係な相談が時折寄せられるようになってしましました。

◎「小●生にしか性的興味が持てません。どうしたら良いでしょうか?」(30歳・男性)
◎「全裸で露出しても捕まらない公園とかありませんか?」(46歳・男性)
◎「動物と性交してみたいのですが、おすすめの動物と安全な方法を教えて下さい」(27歳・男性)
◎「実の兄と恋愛しています。妊娠したので、どうにか結婚する方法はありませんか?」(21歳・女性)
◎「性器を傷つけられると興奮します。かなり原形を留めていないので治療する病院を教えて下さい」(50歳・男性)
◎「男性を緊縛し猿轡をさせて罵倒しないと性的に興奮しません。私は精神の病気でしょうか?」(39歳・女性)
◎「女性の排泄行為に興奮します。でも最近、同性の排泄行為にも興奮するようになりましたが、私はゲイですか?」(40歳・男性)
◎「彼氏の足の指の間の匂いを嗅ぐと性的に興奮します。彼氏にバレそうで怖いのですがカミングアウトするべきでしょうか?」(20歳・女性)
◎「長靴が好きです。ツルっとした質感に興奮します。自慰行為に長靴が欠かせません。将来心配です」(18歳・男性)
◎「二次元の男子にしか興味持てません。このまま恋愛も結婚も無理でしょうか?」(22歳・女性)
◎「アニメ●●●●の主人公の妹のレイラちゃんと結婚したいです。真剣です。手続きお願いします!!」(26歳・男性)
◎「首を絞められながらの性行為が止められません。万が一死亡しても相手が罪に問われないような手続きはありませんか?」(42歳・女性)
◎「肛門性交に最も興奮します。男性ともしてみたいと思うようになったのですが、男性と経験したらゲイになるのですか?」(26歳・男性)
◎「夫との性交中に、元彼も含めて3人で性交をしていると想像すると凄く興奮します。不倫になりますか?」(24歳・女性)
◎「乱交したいです。どうしたらできますか?」(35歳・男性)

上記は、実際の相談メールの内容をオブラートに包んで抜粋したものです。

人間という生き物は、奥が深いですね。性衝動というのは、人間も含めて生物にとって本能として備わっている大変重要なものです。
我々の存在自体が、性衝動・性行動の結果を示す確たるものであるのであって、決して禁忌な事柄ではないはずです。

さて、上記の相談ですが、おそらく彼らは「性的少数者」としての自負があり、その相談にのるはずのレインボーサポートネットにメールを送信したのでしょう。

果たして彼らは、LGBTと同じような性的少数者なのでしょうか?
確かに、マイノリティであることは事実であり、それが性衝動や性行動に基づくものである以上、性的少数者と言えるでしょう。

だとするならば、彼らは、LGBTと同じ分類としても良いのでしょうか?

ここで、その区別のために使われているのが、「性的指向」と「性的趣向」です。
セクシャリティの分類には、性的指向という概念が使われ、性衝動や性行為の内容の区別には、性的趣向という概念が使われます。

例えば、ヘテロセクシャルにもゲイにもレズビアンにもSM好きな人はいるでしょうし、性的趣向の区別にはセクシャリティの概念は影響しません。
つまり、性別の区別に着目した性交対象や恋愛対象の選択、自己の性自認の選択の概念が「性的指向」=「セクシャリティ」であり、SMだとかスカトロだとかいったものは「性的趣向」と考えるのです。

ここまで考えると、「性的少数者の相談」という見出しであるならば、レインボーサポートネットは、性的趣向におけるマイノリティである性的少数者の相談にも応じているということになりますね。

上記のメールの相談者の方の多くには、丁重にお断りのメールをさせて頂きました。

性的指向の研究も難しいですが、性的趣向の研究となると、もっと難しいかもしれません。

反社会的な性的趣向は許されませんが、人に迷惑をかけない性的趣向であるなら、案外たいていの人はいわゆる「フェチ」としてもっているのかもしれませんね。

2011/10/21 12:40 | nakahashi | No Comments