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2011/10/12

前回お話した「シェアリング」

私自身も、色々なお話を聞くことができて非常に刺激的です。
その純粋な想いに感動することもしばしあります。

お話を伺っていると、共通点として
「私に出来ることを探している」
ことが多いような気がします。

言うまでもなく人は本来それぞれ個性があり「私」です。
ですが、現代社会においてそれを自覚し堂々と主張する(もしくは出来る)ことは一般的ではないようで
そうなるための「自分探し」なる言葉が浸透している事実はご存知かと思います。

ネイリストになろうと何故思ったのか?
この質問にも一番多い答えが、簡略すると「自分探し」のように思います。

お一方の例をご紹介しましょう。小倉さん(仮名)の場合です。

小倉さんは、20代半ばの独身女性。
容姿端麗でパッと目を引くセンスもあり、お洒落好きが高じてネイリストを選択したような印象を私は受けました。
しかしシェアリングの席で彼女の口から発せられた動機はまったく違いました。

「小倉の技術がいい」と言われたい、と彼女は言いました。
自分にしか出来ないことで認められたい、と。

聞けば小倉さんはアルバイトで歯科助手をしていたそうです。
技術を職にしている歯科衛生士さんと一緒に働くうち、その方の技術を評価したうえで名前を覚えられることが多い様子を目の当たりにしました。
小倉さんは初めて、自分が評価される、ということに憧れたそうです。
大勢の中の一人、ではなく「小倉さんがいい」と言われたい。
そう思い立った彼女は色々考えたのち、ネイリストの勉強をするという選択に至ったのでした。

自分という個性の表現ツールにネイルを選んだのです。

私はネイリストで、ネイリストを養成する講師でもあるので、その選択にはとても感慨深い気持ちになります。
ネイルが、「自分探し」のツールであり、
もしかすると到達点にもなり、
その後も表現を続けられる自分のパーツにもなるかもしれないのですから、
それに出会えた彼女に心から成功してもらいたいと願うのです。
実際、お金を稼ぐ職業にもなります。

ネイルでなくとも、
ツールを見つけたい、見つけようというその思い立ちは尊く、
また個性ある人間として本来そうあって欲しいと私は考えます。

その通過点に少しでも関わることが出来て、さらにお手伝いになり得たのなら
まさにネイル講師の本望でもあります。

小倉さんは無事卒業されました。
そのネイルのセンスや技術の吸収力も優秀なものでした。
まだまだ若く、将来ある彼女の傍らにネイルがあり続けること、
出来れば彼女の大切な自己実現の一部として備わり続けることを今も願っています。

小倉さんの例に限らず、このような純粋な動機をシェア(分けて)させてもらうことで
私もネイリストであることを誇らしく思えるのです。
もちろん、その名に恥じないよう精進しなければと気持ちも引き締まります。

…と。
只今、時期的に何かと不安定要素が多く(半年に一度の検定試験直前です)、
仕事や現実の厳しさに打ちのめされている今日この頃、
この記事を書くことで癒されちゃいました。

今週末にいよいよ行われる試験には、そんなネイリストの卵たちがたくさん。
みんなが「私はネイリストです!」と堂々と自己紹介できるようになる登竜門です。
頑張ってほしいです!

2011/10/12 10:24 | makiko | No Comments