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2011/09/30
秋のお彼岸も明け、谷間もすっかり秋めいて、朝には白い霧が降り、朝露もすっかり冷たく感じられるようになりました。
畑で揺れる真っ白な蕎麦の花の姿に、改めて百姓への憧れを強く想う川口です。
秋は実りの時、葡萄、栗、柿、無花果と、次々に実る果物がまことに美味しく感じられる頃であり、日々色を濃くしてゆく稲穂の海を眺めて安堵と歓びに充たされる時期でもありますが、同時に何とも言えない寂しさを感ずる頃でもあります。
彼岸を迎える頃から、夏の生命溢れる気配が、ひとつ、またひとつと消えてゆくからでしょうか。
暦の本朝七十二候では彼岸前の45候に「玄鳥去(燕が去ってゆく)」とありますが、初夏から夏空を切り取るかのように飛び回っていた燕たちもすっかり姿を消して巣立った子供たちと共に南へと還って行きました。46候「雷乃収声(雷が鳴り響かなくなる)」とある通り、もう太平洋高気圧に押された熱波が入道雲を噴き上げ雷を轟かせる事もありません。そして、今は47候「蟄虫坏戸(蟄虫戸を閉ざす)」(*)の内、蛙や虫たちも冬眠へと土に潜り始め、田畑から姿を消して行きます。
将に夏という生命のお祭りが終わって賑やかな音楽が止み、会場の照明も消えて皆が去って行く、そんな寂しさなのでしょうか。
虫達の声を聴きながらそんなことを想いつつ呑むお酒もいつになく沁み徹るような秋の夜長です。
*) 蟄虫(ちっちゅう)戸を閉ざす、に対応するのが、有名な春の第七候「啓蟄(けいちつ)」、啓蟄戸を啓く、です。
2011/09/30 08:42 | kawaguchi | No Comments