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2011/09/28

2009年3月22日(日)
去年も一昨年も同じ大会に出場したが、今年はフルマラソンではなく、10キロ。
だけれども、胸がソワソワする感じは変わらない。
ドキドキするような、楽しみなような、でも不安もある、けれど、ワクワクする。
きっとマラソンを趣味とする人ならば、誰しも経験したことのある感覚だろう。
私はこの感覚、嫌いではない。

しかし、今年は一味違うソワソワ感。
もちろん、10キロ走れるのか、という体力的な不安もあったが、この日の天気は雨。
しかも強い風が吹いていた・・・。

ソワソワどころではない。
そう、このときの私はまだウィッグなのだ!!

これまで風が強い日や雨の日に、ウィッグ着用で練習したことはなかった。
考えてみたら、手術・放射線治療が終わったばかりでそんなにハードな練習は・・・と、
晴れて気分の優れる日にしか走ったことがなかったからだ。
しかし、一度やっておくべきだった。
何事も最悪の状況を想定しておかなくてはならない事を、病気から学んだはずなのに。。

キャップをかぶろうか。
いやキャップは意外に風を受けるから、キャップごと飛ばされたらシャレにならない。
しかもスタートの都庁付近はビル群でさらに強い風が吹く。
けれど、雨の中ウィッグでずぶぬれになったらどうなってしまうのか・・・。
かといって、ウィッグは着用せずバンダナを巻いて走る勇気もない。
(普通の人は雨の中バンダナ巻かないでしょう・・・)

悩みぬいた末、結局、ウィッグのみで走ることにした。
一応、長いものではなく、ショートカットのものを選んだ。

9時過ぎのスタートに向け、7時頃家を出た。
やはり風は強く、小雨も降っていた。
しかし、もうやるしかないと、心をきめ、東京都庁へと向かった。
誰に頼まれたわけでもなく、しかも5000円も払って、寒いのに早起きして、
もしかしたらウィッグ飛んじゃうかもしれないのに!
つくづく、無茶だなと自分でも思いながら。

しかし、スタートしてしまえば東京マラソンはもうお祭り。
沿道からたくさんの応援をもらいながら走ることができる。
ひとりで駒沢公園をぐるぐる走る練習とはまるで違う爽快感。
途中、母校が見えるのだが、入院中お見舞いに来てくれた同級生の顔が浮かんだりと、
いろんなことを思い起こしながら足を進めた。

と、ゴール間近で恐れていた事態がやってきた。
強い向かい風。
ウィッグは前髪を吹き上げられると、非常にキケンな事態に陥る。
風は容赦なく前から吹き付けてくる。
かなりヘンだけれど、飛んでしまわないか不安で横髪をちょっと引っ張りながら走った。
それでもおでこ全開、まったくダメなので、もう仕方がないと、下を向いて走った。
風の吹いてくる方向に脳天を向け、相当おかしな格好で走った。
今でも思い出すと涙が出るくらい笑ってしまう図だ。

東京マラソンは随所で写真をたくさん撮影している。
後からゼッケン番号で自分の写真を検索できるようになっているのだが、
この時の様子も、もれなく撮影されていた。
9キロ付近なのに、私だけ100メートル走のスタートダッシュみたいな格好。
すっごくゆっくり走ってるのに(笑)

そんなこんなでも、また走れることがどれほど幸せで、嬉しいことか。
ゴールには夫と友人が駆け付けてくれていたので、そこで泣いたらカッコ悪いと思い、
先に泣いておこうと思ったのか、走りながらちょっと涙がこぼれてしまった。
結局そのままゴールしてしまい雨のせいにしたが、最高の笑顔もそこにはあったと思う。

1時間10分、見事に私は完走することができた。
エントリーした前年8月は、抗がん剤治療の副作用に苦しみ、
フラフラで歩くことさえままならないこともあった私が、10キロを走り抜くことができた。
がんを乗り越え、大好きなマラソンがまたできるようになった。

既に感じていた筋肉痛すら、嬉しく思えた。

・・・次は、アルバイト探し~その後をお伝えします・・・

2011/09/28 05:49 | megumi | No Comments