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2011/09/07

ネイリストにとって、永遠の課題があります。

それは、
絶対中心・左右対称
です。

下のネイル画像をご覧ください。

フレンチスカルプチュアと呼ばれる技法です。

一般の方がご覧になれば「きれい~」とおっしゃっることでしょう。
しかし私たちネイリストが見れば、その感想は大まかに次に分かれるのではないかと思われます。

①「これは誰の作品?」(そう、私たちにとっては「作品」です)

②「はぁぁ…」

③「ぅわ!まじすごい」

④「へぇ」

それぞれの反応から窺えるネイリスト像を、私の独断と偏見に基づきご紹介してみましょう。

まず①。
この反応をする方、結構いろいろな素晴らしい作品を見てますね!
技術だからこその作品には個性がでます。
「誰の?」と思われるのは、その個性を見る目もお持ちということ。
美しいのは当然の前提、その先に好き嫌いなど好みもあります。

②。
この反応をする方は、着実に正しいネイル道を歩んでいると思われます。
ここまでに到達することの難しさ、この作品が放つ数々の難問をクリアした完成度を理解されているからゆえのため息です。
それは羨望をベースに、各々のレベルを再認識しているため息でもあります。
この後に続くフレーズで、ネイリストとして目指しているところがわかりそうです。

③。
②にも近いのですが、おそらくもう少しスクール生のレベルにいる方かもしれません。
とにかくキレイ。これってすごく難しいんだって、スクールの先生が言ってた。
授業で少しやったけど、ぜんぜん出来なくてあり得なかった。まじすげぇ。
…と、私の脳内では20代の若い生徒さんが喋ってます。

さて④。
このリアクションは…。
トップもトップ、もしかすると過去に競技大会において優勝などの受賞歴をもたれる方ではないでしょうか?!
切磋琢磨でご自分の技術を磨き上げ、するどくジャッジする目を養い、「フレンチ」と聞いたら料理の種類ではなく白とピンクの爪がまず思い浮かび、私の理想のフォルムは…とイメージトレーニングを開始してしまうレベルとお見受けします。

ちなみに私自身のレベルはというと。
②です、はい。頑張ってます。

きれいなお爪、で一括りに出来ないのがプロから見たネイルなんです。
その指先を最大限に美しくするのも、本来の魅力を半減させてしまうのもネイリストの技量次第です。

さて、ここで紹介した「フレンチスカルプチュア」とは。。。

アクリルのリキッドとパウダーを混ぜて、柔らかいうちに筆を使って造形する人工爪の技法のひとつです。
フレンチとは、爪の先端に色をつけ、ツートーンルックにするデザインです。
ピンクやクリアのベースにホワイトの先端がベーシックスタイルです。
注目すべきは、その境目である「スマイルライン」。
微笑んでいる口元を真似てのネーミングです。
このラインが左右対称、絶対中心も守らなければなりません。

爪によってそのカーブはさまざま、指も真っ直ぐとは言い切れません。
自分の目と腕がどれだけ正確にこの絶対中心左右対称のラインを見極め作れるか。
しかも作り上げる形もすべて同じ、その指先にフィットする繊細な完成度も必要です。
先の作品なんて、紙のような薄さで出来上がっているんですよ。
これがフレンチネイルの醍醐味であり、ネイリスト泣かせでもあります。

しかも、固まってスムースに動かなくなるまでの時間はおおよそ3分ほど。
限られた時間で、10本を同じに作るにはかなりの集中力と高い技術力が求められます。

人間の集中力の限界は90分といわれますが、ネイリストのそれはそんな短時間ではありません。
120分~150分なんてザラです。

この、ある種超人的ともいえる技術を磨き上げようと、世のネイリスト達は日々切磋琢磨しているのです。
美しさの価値と技術力には終わりがありません。
トップになっても、上を見ればきりがないのです。
精神力がその腕に大きく関わってくるのも必然です。

年に数回、全国の各地で開催される競技大会(コンペティション)では、そんな自分に厳しいコンペティター達が集合します。
その数はざっと数千人。
その一人一人に、熱い思いがあるんです。

実は、ビバ!体育会系、なノリの一面もトップネイリストにはあるのでした。

ちなみに、紹介した画像は2年前に行われたコンペの総合優勝を果たした方の作品です。
練習モデルとして私が手をお貸しした際の写真です。

そりゃもう、ネイリストだったら涎が出るほどの素晴らしい機会に恵まれた私はテンションあがっちゃって、夜中だというのに目をランランとさせて帰宅したのでした。

絶対中心左右対称。
ドキドキしちゃう響きの言葉です。

2011/09/07 10:30 | makiko | No Comments