はじめまして。北原由佳子です。
パリで写真を撮っています。
と言っても、私は写真をお仕事にしているわけではありません。
フランスびいきの写真愛好家、といったところでしょうか。
エッフェル塔、凱旋門、サクレクール、オペラ座、ノートルダム、ルーヴル美術館・・・
ここパリには、街中の至るところに有名な観光名所がありますが、
私が好きなのは観光地から通りを何本か隔てたあたりの、生活感に満ちたパリの姿です。
たとえば道端に無造作に停められた自転車や、公園で鳩を追いかける子ども、カフェで食事をするカップル、アパルトマンの窓辺の赤いお花。
そういうどこにでもある街の風景が、パリではなぜか絵になるのです。
この街で暮らすうち、写真好きの私の目は、街角の絵になる何かを自然とキャッチするようになってしまいました。
先日足の向くままに街を歩いていたら、めがね屋さんの前でスコティッシュ・テリアに出会いました。
ショーウィンドウの前の狭いスペースにちょこんと伏せて、
のんびり店番でもしているようなその姿がかわいくて、パチリ。
でもあまりにもコンパクトに収まりすぎて、スカーフ頭のおばちゃんも、ワンピースのお姉さんも、
足元に犬がいるなんて、全然気付いた様子がありませんでした・・・。
写真を撮るお友達からは、私の視野は狭い、寄った写真を撮る、とよく言われます。
それは実際その通りで、私の写真では、街の片隅にちゃんと存在しているけれど気付かれにくいもの、ちょうどこの「店番わんこ」みたいなものが主役です。
さて、最後になりましたが、タイトルのTCHAC!はカメラのシャッター音の擬音語で、チャック!と読みます。
このコラムでは、毎回パリの写真をひとつと、それにまつわる小話をひとつ、という形で展開していきたいと考えています。
どうぞよろしくお願いします。