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(ゴミ箱…左上/ロンドン 右下/東京)
見慣れた物も 色彩も
比べてみると おもしろい。
しばらくぶりの更新になってしまいました..お変わりありませんか?
突然ですが ひとつおしらせがあります。
じつはこの夏 日本に帰国する事になりました。
(ロンドンだよりという名前も あとすこし!
でも現地のお仕事は続けられそうなので
ロンドン情報は引き続き発信したいと思っています。)
それに伴い仕事のことや家のことなど 整える事が重なり…悩ましいです
詰めて送るだけなのですが どうも不得意なわたし。
思い出の品を捨てられない質で
全部もって帰れるはずが無いのに
なかなか 物が減りません。
今まで描きためたスケッチや
集めたチラシやらスクラップやら
こうした記録や素材は もちろん手放せません。
紙類 かさ張るし重いのです。
仕事柄 ついて回る悩みです。
ちなみに ロンドンからの帰国の際は
ほとんどの方がクロネコヤマトを使って発送するようです。
そう ロンドンにはクロネコのオフィスがあります。
ピカデリーサーカスの三越デパートの一階、レジの左奥。
航空便と 船便のオプションが選べますが
航空便は一週間くらいで届くのに対し 船便は約3ヶ月。
どこでそんなにかかるのかしらと ちょっと不思議になる数字ですね…
数十ポンドの違いなので よほど箱数が多くならない限りは
航空便を選ぶ方が多いようですが
どうなることか まだ未知です。
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さて 私事の話題から始まってしまいましたが
今日は ロンドンと東京の‘色彩風景’についてお話ししたいと思います。
じつはイラストレーターといいながら色彩学が大好きで
個人的にまとめた資料がありまして…
これも「視覚伝達としてのイラストレーション」の一部という事で
ジャンクに載せる事にしました。
発想の転換に…楽しんでいただければ幸いです。
英語で 町並みのことは‘Cityscape’。
これをもじって 町並みの色彩風景を ’Colourscape’ といいます。
街の色彩 というと 皆さん何を思い浮かべますか。
たとえば海外旅行に行って,
「あれ、何だか街が明るい!」
「何だか雰囲気が違う!」
「なぜだかは わからないけれど」
そんな風に思った経験はありませんか。
もちろんいろいろな理由が考えられますが
街の中で使われている色や 配色の種類が
その場所の印象を左右している ということが
かなりあるのです。
毎日生活している場所で,毎日目にする物だから
普段 あまり気づく事の無い その街独特の配色。
そして その配色が好まれる
文化的,地理的背景とは…?
色彩。
気をつけて見始めると
なかなかおもしろい発見があります。
ロンドンに5年住む中 発見したこの街の色
今回は東京の色彩と比較して
2回に分けて すこしご紹介します。
1回目の今日は,
町の公共物に注目してみたいと思います。
街の色を考えるにあたって
色比べをする対象を決定する必要があります。
(なにしろ 街は物で溢れています!)
二つの都市に共通して存在するもの ということで
いくつか選んでいきましょう。
(今回は,建造物以外の物体についてみていくことにします。)
まずは個別の色を比較して
全体像を眺めてみる事にします。
※比べた地域は,東京台東区とロンドン北部キルバーン。
データは2009年のもの,色の調査にはPantonカラーチャートを使っています。
比べたもの…
バス
タクシー
公共電話
看板
郵便ポスト
道路フェンス
信号機
工事現場(ポール、看板、囲い板など)
ゴミ箱
さあ 東京にお住まいの皆さんは
それぞれの物の色,思い出せますか?
なかなか 難しいのでは…ないでしょうか。
順番に見比べてみましょう。
(左/ロンドン 右/東京)
おなじみの色ですが 改めて見るとこんなに違う。
(上/ロンドン 下/東京)
タクシーはどこも鮮やかですね。
東京の方がポップな感じがします。
(左上/ロンドン 右下/東京)
緑の電話はかなり独特です。
ロンドンは赤と青が多い。
(左/ロンドン 右/東京)
通りの看板や住所表示。
東京は区によってプレートの色が違います。
ロンドンはとにかく 白黒+赤が多い。
(左/ロンドン 右/東京)
ポストの色は共通。
日本の物は 心なしか黄色っぽい赤。
みなさん どんな印象を持ちましたか?
全体として
ステンレス/白+やわらかい色彩(黄緑,水色,オレンジなど)の多い東京
という印象があります。
こんな感じになります。
ロンドン=高彩度,低明度,コントラストが強い配色(ex.黒/赤)
東京=中—低彩度,高明度,なじみの配色(ex. 灰色/水色)
ざっくりまとめてみると このように見られるのではないでしょうか。
普段見慣れている物も,他の文化圏と比べてみれば地域性が見えてきます。
次回は 建造物の色彩も見ながら
街全体の色合いと,その違いの背景についても
少し考えてみようと思います。
長くなってしまいました!
最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは,また来週。