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2011/06/21

皆さん、おはようございます。
加行から出てきて2週間たとうとしていますが、
加行中は、娑婆へ出たらまず、グータラしてやるぞ!
と思っていたんですけども、
なかなかそうはいかないもんです。

いや、スケジュール的にそうしようと思えばできるんですが、
ひたすらグータラすることが、なぜかできない。
用事が押し寄せてくるわけではないのですが、
心と体がグータラできずに、いつの間にか
用事を作ってしまっているのです。
2ヶ月半に渡って、まったく休日のない生活、
というのをしていると、染まってしまうようですね。

さて、その休日のない日々なんですが、
まずはざっとスケジュールを挙げてみましょう。
解説はその後で。

3時~4時 起床 支度して後夜行に入る。
6時前 朝勤行・持仏間・院内諸尊参拝
7時 朝食 空衣・如法衣を着用、食事作法の後食べる。
8時 日中行
10時 伽藍参拝 或は 奥ノ院参拝 (正行中は禁足につき参拝はなし)
11時40分 昼食 朝食と同じく、食事作法あり
13時 初夜行
16時 夕勤行、施餓鬼
17時 下座行
18時 夕食 作務衣、食事作法なし 以降入浴、就寝

さて、そもそもこの生活のメインというか、
主目的は四度加行、つまり起床後の後夜行、
朝食後の日中行、昼食後の初夜行、
この一日三時(1日に3度)の行法にあるわけです。
極端な話、それを師僧に命じられた規定回数行えば、
一応この修行はクリアした、ということになるわけですね。
それ以外のスケジュールは従属的なものです。

そしてこの一日三時の行法なんですが、
未明、午前、午後でワンセットなのではなく、
午後、未明、午前の順でワンセットなのです。

まず、初夜とか後夜とかの、夜の定義なのですが、
これは正午以降のことを指します。
そしてターニングポイントが夜の0時。
正午を越して(夜)、その最初に行われるのが初夜。
そしてターニングポイントである0時を越し、
夜ではなくなった後に行われるのが後夜、という話でして、
始まりは初夜、つまり午後の行法なんです。
ですから、加行でも正行でも、
開白、つまりスタートの座は初夜に行われるべきもので、
結願、つまりラストの座は日中に行われるべきもの、
というのが、真言宗の大半、
少なくとも高野山真言宗で行っている、
中院流という流派の習慣なのです。

で、本来は初夜行は午後6時や7時から、
後夜行は午前6時から、という感じらしいのですが、
現在の加行者はお寺のスケジュールに合わせる必要がある、
という関係で、上のようなスケジュールになっているのです。
では、集団加行のように、加行の専門道場で行うなら、
本来の時間帯でもいいじゃないか、という見方もできますが、
今のところ、普通のお寺のスケジュールに準じている、
というのが現状です。

ちなみに、最後の1週間、
つまり護摩正行の時は少しスケジュールが変わります。
護摩も一日三時で行う道場の場合です。
集団加行などがそれにあたるわけですが、
その場合、起床が2時とかになり、
他も多少ずれ込んできます。

なぜなら、護摩の行法は時間がかかります。
火を焚いている時間もそこそこ長いのに、
その前後についている行法の時間も、
少し長めにかかるのです。
最初はやはり最短でも2時間半近く、
ひどいパターンになると6時間などという人もいるようです。
私は2時間20分だったので、6時間というのが
何のためにかかってしまうのか、いまだにわかりませんが。

私は最終的に1時間40分少々まで縮めました。
(タイムが短いほど良いというわけではないので念のため。)
しかし、この短縮は火を焚く手順が慣れによって速くなったからであり、
その前後の行法はそれまでの経験で慣れていることなので、
短縮対象にはなっていません。

そして、護摩の片付けと次の座の準備は、
それまでの行法とは比べ物にならないほど手間がかかります。
護摩が終わった時の護摩壇の状況を書いてみましょう。
一応炎は鎮火されているものの、まだ燃え残りが赤く燻ぶっています。
そして、炉の中に投入する供物には、
散香や本尊塗香といったみじん切りの香木類、
白胡麻のような粒子があるのですが、
炉のところまで手を持って行って入れるわけではなく、
特に白胡麻などは手元に置いた器から、
つまんで投げ入れるだけなので、炉に命中しなかったものが
壇中に散らばっています。
また、蘇油といって、炉の手前に置いた油の器から、
両手に持った大小の杓で油を掬い、
炉に注ぎ込む、ということをし、
さらには護摩木を油の器に突っ込んでから投入する、
ということもしますので、
その周囲は油汚れもあります。

一応壇はステンレスで覆われていますから、
多少、掃除は楽なはずなのです。
しかし、壇にある器を壇の外に移し、
ミニ箒で壇を掃き、専用のタオルで拭いて、
器をもとの位置に戻し、樒の葉と香炉の抹香を取り換え、
空になった供物の器に供物を補充し、
ということをやっていたら、結局2時間半から3時間は
この一座にかかることになるわけです。
それまでの行法はだいたい1時間で準備も含めて完了しますから、
生活時間が変わってしまうのは当たり前です。

ただ、私の加行した道場やいくつかの院内加行では、
例外的に護摩は一日二座でよいことになっています。
というのは、うちの護摩堂は本堂併設でして、
本堂に入ったら必然的に護摩堂に入ることになり、
護摩壇の前を通りますので、
宿坊もやっていて、朝勤行に宿泊客も来るわけですから、
お客が朝勤行に来たとき、まだ護摩をやってた、とか、
片付けでバタバタしていた、とか、
そういうことがあっては困るので、
未明の座である後夜行は免除されているわけです。

もっとも、私も実際ありましたが、
護摩をしている最中に、回向に来た檀家さんが入ってきて、
回向を済ませて出て行った、ということもありましたから、
結局同じじゃないか、といえばそうなんですが。
しかし、昼間はもう仕方ないとしても、
せめて朝勤行くらいは、というところなんでしょうね。

しかしながら、護摩正行に入ると、
休憩時間はほとんどなくなってしまいました。(笑)
肉体的には一番きつい期間でしたが、
元来が行法マニアの私ですので、
楽しかった、というのが本音です。

さて、次回は「朝暮例時」と題しまして、
勤行や食事などの作法について書いてみましょうか。

2011/06/21 04:22 | bonchi | No Comments