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2011/06/17

法律上の「不貞行為」とは何でしょうか?

不貞行為という言葉を聞いたことがあるという方は多くいらっしゃるでしょう。イメージ的には『浮気』が思い浮かぶ方や、『パートナー以外との性行為そのもの』を連想される方、『パートナーへの裏切り行為全般』をあてはめる方もおられるかもしれません。

そもそも不貞行為という文言は、民法という法律で次のように登場します。

民法第770条(裁判上の離婚)

①夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

  • 一 配偶者に不貞な行為があったとき。
  • 二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
  • 三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
  • 四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
  • 五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

さて、要するに、配偶者(夫からみて妻、妻からみて夫)に不貞な行為があった場合には裁判所に対して離婚の訴えをすることができると定められているわけですが、不貞な行為とは何なのかは法律には書いてありません。

そこで、不貞行為が具体的にどのような行為を際しているのかは、判例(実際の事件の裁判の判決)で判断します。

判例によると「不貞な行為とは、配偶者のある者が、自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいい…」となっています。

つまり、具体的な性的関係が要求されているわけです。

さて、レインボーサポートネットに寄せられる不貞行為に関する相談としては、①夫(又は妻)が同性と浮気をしているパターン、②同性カップルの片方が同性(又は異性)と浮気をしているパターンとなります。

下級審の裁判例では、同性との性行為を不貞行為と捉えなかったものがあります。但しその場合でも、婚姻を継続し難い重大な事由に該当するとして離婚自体は認めています。法律上、不貞行為は異性間での性行為に限ぎられると考えられているようです。

問題になるのは、同性カップルからの不貞(浮気)相談です。

そもそも同性カップルには、法律上の婚姻関係の様な法的権利義務関係は認められません。

そこで、出来る限り法律上の婚姻関係に近い状態に近づけようということで、パートナーシップ契約などの名称で、婚姻に準じる関係を契約で発生させる工夫をします。

当事者同士が納得したうえで、お互い任意に行う契約ですから、その内容は自由に取り決めできますが、法律上、公序良俗に反したような内容のものは認められません。

では、何が公序良俗に反しているのかというと、これもまた判例に頼ることになります。

同性パートナー間で結ばれた契約に関して、その内容の有効性を巡る裁判が行われたという話はまだ聞きません。同性カップルの間に、パートナーシップ契約を締結する人たちが増えてくれば、将来的にその契約に基づく訴訟が発生するかもしれません。同性間の不貞行為を裁判所はどのように判断するのか注目されます。もちろん、現行法の下では、同性カップルに婚姻と同様の法的保護をすんなりと与えるとは思えません。しかし、任意に結んだパートナーシップ契約に対して、どういう法的観点から『お裁き』を下すのか見てみたい気がします。

2011/06/17 12:01 | nakahashi | No Comments