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皆様、ご無沙汰しております。
4月1日から高野山の山内寺院に籠って、
四度加行というものをやってまいりました。
「しどけぎょう」と読みます。
基本的に、真言宗、天台宗、そして奈良仏教のお坊さん、
特に住職、住職資格を持つ人は必ずそれをしたことがあるものです。
これは、密教独特の修行でして、
住職資格を取得するために、最低限行うべき修行です。
とはいえ、現在のシステム上、結果論的にそうなっているのであって、
本来の目的は、「師」たるものとしての認可を受ける、
「伝法潅頂」という儀式を受けるための前行なのです。
このシステムは鎌倉から室町にかけて確立されたようです。
さて、四度、というくらいですから、
4つの部門にわかれています。
ちなみに、この四度加行を含むあらゆる行法には、
作法に流派があるのですが、
ここでは私の属する高野山真言宗の流派である、
「中院流」で話を進めていきます。
ではその4つとは何なのでしょう。
他流では順番が多少入れ替わったりするようですが、
中院流では以下の順序で行法を進めていきます。
理趣経加行(3日~7日)
護身法加行(3日~7日)
ここまでが中院流と小嶋流の四度加行の前行になり、
次からが本編になります。
十八道加行(14日)
十八道正行(7日)
金剛界加行(14日)
金剛界正行(7日)
胎蔵界加行(14日)
胎蔵界正行(7日)
護摩加行(14日)
護摩正行(7日)
十八道、金剛界、胎蔵界、護摩の4種類に、
それぞれ「加行」と「正行(しょうぎょう)」があります。
加行とは、正行に備えて修する前行のこと。
実際に、十八道なり、金剛界なり、の次第を修することになるのは、
十八道であれば十八道正行の時から、なのです。
では、十八道正行より前はどういうことをしているかというと、
行のメインは108回の五体投地礼拝なのです。
その後、着座して読経、本尊の真言念誦をするのです。
それで、十八道正行以降はどういうことをしているのかというと、
これは、印と真言、そして観想を使った供養法を行っているわけです。
譬えていえば、ホームパーティーですね。
仏様をお客様として壇(我が家)にお招きして、
色々とプレゼントしたり飲み食いしてもらったりしてもてなし、
最後にお帰りいただく、ということを、
印、つまり手指の組み合わせと動き、
真言、つまり言葉(ただし、中国と日本訛りのサンスクリット語)、
観想、つまりイメージの3つを使って行うわけです。
以上、やることの基本概念は4種類とも変わらないのですが、
誰をお客として呼んでくるか、というのが違います。
十八道は基本中の基本として金剛界の、
主に主尊格たる大日如来。
金剛界は金剛界曼荼羅に描かれているすべての諸仏、諸菩薩、諸天。
胎蔵界は胎蔵界曼荼羅に描かれているすべての諸仏、諸菩薩、諸天。
護摩は不動明王とその眷属、五大明王など。
十八道は、今後修していくであろう様々な行法が、
「十八道立て」と呼ばれる構成になっているように、
行法の組み立ての基本となる構成で、
今後の行法のお稽古、という色合いがあります。
その習得が終わった段階で、
今度は金剛界、胎蔵界という、
「大法立て」と呼ばれる最も丁寧な供養法を行うのです。
しかし、大法立ても、その根底には十八道があり、
十八道ベースに、プラスα(というほど少なくはないが)の
印と真言が組み合わされているのです。
そして実際には、四度加行より後に、これらの行法を修する機会など、
自分で作るなりしない限り、まずありません。
護摩は申すまでもなく、護摩壇という特殊な壇を使って、
護摩木をくべて火を焚き、供物を火の中に投入して、
不動明王に祈願する、という行法です。
さて、これら4種類に「加行」というのがついていますが、
金剛界加行と胎蔵界加行については、
それぞれ直前の正行の内容をそのまま継続することになっています。
つまり、金剛界加行では十八道の行法を、
胎蔵界加行では金剛界の行法を、という具合に。
護摩加行は少し特殊でして、
午後に金剛界を、未明に十八道を、
午前に胎蔵界を、というプログラムになります。
そして、午前の座には、
中院流の場合、「大師作法」と「明神作法」が付きます。
どちらも21回の礼拝と読経、真言念誦です。
宗祖たる弘法大師と、高野山の守り神である、
四社明神に礼拝と読経を捧げる作法です。
以上が、四度加行についての概略になります。
次回は加行生活について書いてみたいと思います。