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こんにちは、根本歯科室の根本です。
前回は思い切って、手抜き(時短)について書いてみました。
私も現在は院長と乳児の父の掛け持ちですのでつくづく思いますが、今ほど
『時は金なり(Time is MONEY)』
を実感することはありません。
生活していて、つねに一分一秒が惜しまれます。
スーパーのレジでトロいのがいると、イライラします。
銀行の窓口で不必要に待たされると、イライラします。
空いた時間は、つねに全て子供や家族に充てたいと考えています。
だからこそ、10秒チャージ(ウィダーインゼリー)的な考えには共感します。
しかし、入れ歯については、気になるCMがあります。
今回の話題は、解釈的にちょっと微妙な線引きを感じます。
そこで、”意図的に”シンプルに理解していくことにします。
若林先生。
ぼけーっとテレビを見ていると、、何気なくちょこちょこ出てきますね。
ポリデントの宣伝です。
個人的には直接存じ上げませんが、Yahoo!ジャパンのヘッドラインのPRのところにもしばしば出てきますので、有名な先生なのではと思います。
なんでも、入れ歯を水を張ったコップに入れて、『これ』をドボンと入れておけば、翌朝には入れ歯はきれいになっている、ということのようです。。。
知覚過敏のシュミテクトの大塚寧々よりも、CMの頻度的には上なんじゃないかしら。。
◆
そういえば昔、ホンマでっかに出ている武田邦彦先生がネット音声ファイルで言っていたと記憶しているのですが(どのMP3かは忘れました)、えてして専門家というものは、実に巧妙に嘘をつくものなんだそうです。
説明の最初の方の分析や総論などは、だいたい正しいことを言うのですが、最後の結論付けに大きな影響を及ぼす後半部分で、ちょこっとだけウソを混ぜて、そのまま素直に読める論旨とは反対の結論に持って行ってしまうんだそうです。
そのたびに武田先生は奥様に「ほら、今コイツ嘘ついた」と説明しているそうなんです。。
この話は、まあ先生ご専門の理学や工学に関係する分野の話だとは思いますが、この話は分野をとわず枚挙にいとまがないですね。
私はそこまでして反対の方向に結論を持っていくのが専門家の仕事とは思いたくありませんので、彼らの思考回路に共感はできませんし、そういう仕事はしたくありませんけどね。
一番分かりやすいのは政治、なかんづく日本共産党です。
多くの保守系論客の方が指摘するのですが、説明の前半部分の分析はきわめて正確かつ精緻で、それは見事でありながら、そこからなぜか反対方向に議論が導かれてしまい、後半部分の結論付けはまた見事に反対になってしまう、とのことです。
次に分かりやすいのは、日テレのZERO(23時)のMCを務める「財務ラオ(ざいむらお)」です。
この財務ラオは、ほのぼのした社会面的ニュースや当たり障りない部分では無難にMC役をこなすのですが、こと経済に関しては、政府債務ならぬ「『国』の借金」などというおためごかしを多用し、とにかく『消費税増税による財政再建』という完了的大本営発表をあの虫も殺さないような微笑で説くので性質が悪いです。
もう、名前からして出自が丸わかりなので、ダメですね。この辺に固執する頑固さは、読売テレビの「辛『抱』死”労?!」と相通ずるものがあります。
でもこの間、例のごとく「『国』の借金」800兆とか財務ラオがドヤ顔で言ってるのを見てて、思ったんです。
つい数年前までは「『国』の借金」1000兆直前、日本は破たんとか言っていたくせに、もう200兆も「『国』の借金」が減ってるじゃん、それでねぇ、いつ破綻するのかねぇ…
あの史上最低レベルの金利、安定しきったCDSを、素人にも分かりやすいように説明してほしいもんです。頭の中でクマが3匹ぐらいドンドンと踊ってます。
あと侍ジャパンの「韓国慕(かんこくぼ)」監督もひどかったですね、とくにプレミア12w
この、何とか相手国を勝たせるための好調大谷の硬板、則本の回跨ぎは野球ファンの記憶にも鮮明な所でもあります。
そうでなくても、大人にはみんなポジションがあり、政治家に限らず、党利党略や派閥の理論でしか物を語れないから、だから「オトナ」なんだとは思います。
でもそれが結果として誤解を生む形での金儲けの一助を担ってしまうのは、どうかと思います。
◆
さて、ポリデント。
「入れ歯は毎日除菌してください。
入れ歯洗浄剤 ポリデント」
もうこの文章だけで、噴飯ものなんです。
どこがおかしいでしょうか?
ちなみに、CM中では若林先生ご自身はギリギリのところで「洗浄」という表現を避けておられます。
上記については当然ご案内なのはいうまでもないことの傍証です。
分かりにくい人は、こちらをごらんください。
うちの院内新聞でも紹介したのですが、「ひよこクラブ」の一ページです。
「ベビーグッズは除菌前に
きちんと洗浄、がマスト」
そうです、これが正解です。
今我が家にも乳児がいて、哺乳瓶などの管理をしているのでよくわかります。
①見える食べかすやプラークを取る
②見えないヌルヌルを取る
③水(や○○)につける
これが正しい順番です。
そして、①②が洗浄、③が除菌です。
哺乳瓶は、完全に①と②が分かれています。
哺乳瓶の除菌の液は一般に「哺乳瓶『除菌料』」という特殊な名前です。
西松屋とかバースデイなどに赴くとわかります。
まぁ、ほぼほぼハイターと同じ成分(次亜塩素酸ナトリウム)でしょうけど。
で、ポリデントのCMのどこが悪いか。
若林先生「私たちが市販の洗浄剤をお薦めするのは、洗 浄 だ け で な く 同時にしっかり除菌もできるからなんです」
…あれっ、先生『洗浄』って、言っちゃってましたねぇw みいつけた!
もうお分かりですね。
これは哺乳瓶にたとえたら、乳首とかを洗わずに、軽く水でちょちょって流して、そのままドボンと除菌料入れに入れるのと同じです。
絶対にありえない絵です。
入れ歯も同じです。
年寄りのだから雑でいいや、というわけにはいきません。
そう、このCMをうのみにしたら、入れ歯とかを洗わずに軽く水でちょちょって流して、ベトベトとかヌルヌルがザックリそのまま残っている状態でドボンとポリデント入れに入れるのと同じです。
これで明日の朝にはきれいさっぱり、と消費者は誤解してしまいます。
まったく効果のない方法ですが、「これは手間がかからなくていい」と。
あのバブみたいに出てくる泡になど、洗浄効果など実質皆無です。
ですので、入れ歯はまず手でしっかり洗う必要があります。
きれいに見えてもヌルヌルが結構ついていたりしますし、茶渋やヤニ、入れ歯についた歯石などは基本的に専門的な道具でとる必要がありますが、そうでない①食べかす や②ヌルヌル はしっかり手で取る必要があります。
ですから①②洗浄 と、③除菌 を分けなければいけません。
それでなくても哺乳瓶よりも汚染度合いが高い入れ歯。
③除菌 の前に、①②洗浄 を、哺乳瓶以上にしっかりやるのは当然ですね。
それには、義歯用ブラシを1本用意しておくのがベターです。
スニーカーブラシでもいいのですが、あのような硬い毛足は、意外と頑固なヌルヌルに効果的なんです。
時短は時代の要請でもあるし、さまざまな分野で積極的に検討されるべきだと思いますが、手を抜いてはいけないところは抜いてはいけません。
その辺の塩梅や判断にこそ、専門的知識が求められると思います。
それを、プロや専門家がミスリードを助長してしまっているように思えた一件なので気になりまして、在野の一街医者ですがひとことコメントいたしました。
【今回のまとめ】
洗浄と除菌は別。物理的に洗浄した後に化学的に除菌。