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『愛するパートナーと結婚し、夫婦となり、子供をもうけて家庭を作る』ヘテロセクシャル(異性愛者)にとっては、ごく自然で当たり前のことです。理屈云々のことではなく、本能的な行動なのかもしれません。男女が夫婦という形でお互いを拘束するのも、家庭を構築するためのパートナーシップを具現化するためのものであると考えても良いのではないでしょうか?愛するパートナーとの家庭を作るということは、人生にとって大きな喜びとなるはずです。
さて、時折、ゲイやレズビアン、トランスジェンダーの方から、子供を持つためにはどうしたら良いのかという相談を受けることがあります。
この相談対応は、セクシャリティーやカップルの状況によって回答が異なってくるわけですが、方法論はともかくとして、そもそも、セクシャルマイノリティが子供を持つことは許されるのかという議論があります。
生殖医学が高度に発展した今日、自然な状態では子供をもうけることが無理なカップルにも、子供を持てるチャンスが訪れるようになりました。しかし、この事は、セクシャルマイノリティに関するだけでも想定外の事象を多く引き起こしています。
例えば、ゲイのカップルが子供を持ちたいと考えた場合、卵子の提供を受けた上で、体外受精させ、代理母に出産してもらうという手法や、レズビアンのカップルが子供を持ちたいと考えた場合には、精子バンクから精子提供を受けて、自分で妊娠出産するという手法、さらには、女性から男性に性転換したトランスジェンダーが、戸籍も男性に変更したのちに、女性と法律婚(法律上の婚姻)をし、AID(非配偶者間人工授精)によって子供をもうける手法などがあります。
現代社会では、セクシャルマイノリティが子供を持つことが出来ないという時代は過去のものになろうとしています。
しかし、そもそも、セクシャルマイノリティのカップルが子供を持つことは許されるのでしょうか?自然な状態であれば、セクシャルマイノリティが子供を持つことは不可能なはずです。科学の力を借りて子供をもうけることは許されるのでしょうか?いやしかし、それは男女のカップルにおいては、いわゆる不妊治療として認められているのものでもあります。自然な状態では子供を持つことのできない男女のカップルであっても、不妊治療の力を借りれば子供を持つことができるし、それは倫理的にも問題になることはあまりありません。
結局、子供を持つ権利は、男女のカップルにしか認められないのでしょうか?
親の立場、子供の立場、様々な観点から、色々な議論があると思います。
実は、私の中でも、まだしっくりといく答えが見つかりません。生殖医療自体が、いわゆる「神の領域」であるわけで、そこに踏み込むこと自体の是非の議論もあると思います。
読者の皆さんはどのようにお考えになりますか?自分の事として考えるのは難しいかもしれませんが、子供を持つことのできる権利について、少し考えて頂きたいと思います。
ちなみに、この問題を考えるにあたって、参考になりそうな映画の公開が始まりました。映画「キッズ・オールライト」です。扱っているテーマはヘビーなはずですが、コメディ調の映画です。色々な家族の在り方を、私たちは受け入れるべきなのでしょうか。