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こんにちは。根本齒科室の根本です。
AEDの話が1回入ったので、前々回の続きです。
<営業系の苦心>
前々回(Vol.1)でご案内のように、保険外治療の話をしたり勧めたりすることで、私は今までさんざん気まずい思いをしてきたり、苦心してきました。
その理由は、おそらく
「潜在意識には主語がない」
からだと思います。
どこかの本で読んだ言葉で、誰かは忘れましたが、なるほどと思ったので良く覚えています。
その本では、こういうことを言っていました。
<1>
たとえば
「お前はバカ」「○○はバカ」と言ったりすると、顕在意識の中ではバカなのは「お前」だったり「○○」だったりして自分とは関係ないことになっています。
しかし全意識の大部分を占める潜在意識では主語を判別しないので、「バカ」という単語を使った瞬間から「お前」や「○○」だけでなく、「私(話した人自身)」をも等しくバカにしたのと同じ意味を持つんだそうです。
このように、汚い言葉やマイナスの言葉を多様していると自分自身のメンタルを大幅に傷つけてしまうという警鐘を読んだことを非常に印象的に覚えています。
「思っても言わない」「喉まで出かかって」
けだし大事なことなんでしょうね。
<2>
私が経験してきた「営業系の苦心」は、少々違う観点かもしれません。
「傾聴」という言葉があります。あるセミナーで聞いた言葉です。
「自分の価値観を差し挟まずに相手の話しを聞く」という意味だそうです。
これは非常に難しく、かなりトレーニングがいるようです。
私も傾聴の真似事をしてみて、(こりゃムズカシイ)と凹んだことがあります。
相手が選択して発した単語に対しては、その単語に対する「自分なりの解釈」で意味づけ、色づけしながら相手の意図を理解していくほかありません。それが人間です。
「自分なりの解釈」ですので、多分エラーが多い。
相手の気持ち⇒相手の単語⇒自分の単語⇒自分の気持ち
このように、会話というのはじつは効率が悪いですね。
その不確実性を補足する意味で、ボディーランゲージや表情で色づけしながらじっさいの会話が行なわれるわけです。
しかし、ボディーランゲージや表情で伝わる補足的なニュアンスも、お互いの最大公約数的な理解の範囲内のものしか伝わりません。
それは、突きつめて言えば、この世は物質・形態の世界であり、
音声(気体分子中をエネルギーが波動を形成して音波として伝達)
文字(音や意味を表す記号=図形・画像認識、その羅列~意味づけの付与)
表情(表情筋の動き=図形・画像認識)
のような、実際の情報や概念とは関係ないものを数多く媒介させないと、情報や概念が伝わらないものです。
相手の気持ち⇒自分の気持ち
のように言語を介さずにダイレクトに考えや気持ちを理解しあえたら、それは素晴らしいことですが、それではあの世での魂同士のコミュニケーションになってしまう。。
ある意味羨ましいし、ある意味オソロシイ。
だから、相手の気持ちを理解したつもりになっていても、厳密に言えばそれは、自分の過去の経験や思考体験という引き出しから、似たものを引っ張り出してきてそれを自分の中で追認しているだけ、というのが実態でしょう。
そう思うと、コミュニケーションをとっているつもりになっていても、その多くは自分自身の一人相撲でしかないのかもしれませんね。
で、私自身はどうか。
<自分が営業嫌い>
◆ 他人に営業されるのが嫌い
◆ 他人に提案されるのが嫌い
近年とみにそうなんですが、ちょっとしたいろいろなところでとにかく「売り込み」されるのがすごくうっとおしく、きわめて不快な感情を覚えます。
この間も、DoCoMoのスマホの液晶を割ってしまったことがありました。修理に出したのですが、待っている間に店員がやってきて、「お待ちの間にお時間を少々いただいて」とか何とか言って「何とか光プラン」の押し売りがしつこい。これがウザくて仕方がありませんでした。
歯科医院でも、材料屋の御用聞きの営業さんが、たまに「お時間少しいただけますか」みたいな話をして、大したことの無い宣伝をしていくことがあります。それが8番の埋伏の(えきすと)Ext中だったり上顎の7番のMB2を開けているときだったりすると、軽く(てめぇーこのやろう)みたいな感じになります。
以前1回モデルハウスにひやかしで行ったときも、営業マンの売り込みとか、事後の電話営業とかがうっとおしくて非常に辟易しました。
あんなことをしてたら、誰ももうそこのモデルハウスには行きたがらないと思うのですが、何であんなにしつこいんでしょうか・・・
何で彼らは、相手の意に反して無理やり「売り込み」するんだろう?
いや、何で「売り込み」できるんだろう。
中には仕事だからと我慢してやってる人もいるのかもしれないけど、素でノリノリで営業トークかましてるやつとかも少なくない。
自分だったら、こんなことされたらイヤだから、他人にもできないのに・・・
ここまで考えて、はっと思った。
コイツらは、
①もともと他人に売り込みされても嫌な気持ちにならない性格←鈍感
②自分はイヤだが、自分がイヤでも他人がやられるのは無問題←傲慢
このどっちかだ。
うわー、どっちとも付き合えねぇ、とくに②は無理。
・・・
私と来た日には、「こんなしつこい営業までしないと名目GDPが伸びないんだったら、共産主義のほうがまだ資本主義よりはマシだ(でも日本共産党は無理ですけど)」とすら思うくらいの売り込み嫌いです。
そのくらい極端な自分自身を思えば、他の人に売り込みをするのが気がひけるのは当然だと思います。
(客がああ言ったらこう言い返す)
(客がこうなったらクロージング)
なんて少しでも考えるだけで虫唾が走る思いです。
(イヤだけど我慢して頑張らなければ)と思いながら仕事をしていた日々の辛かったこと辛かったことw
<自分が貧乏>
もうひとつ大きな点だが、残念なことに私は貧乏です。
まだまだ多額の借金を抱え、毎月●十万の返済に追われ、安い賃貸住まいを余儀なくされている日々です。
必然的に日常生活は質素にならざるを得ず、酒も外に飲みに行くと高いので宅飲みオンリーだしついにまた禁酒しました。服もその辺のGUとかしまむらなどの安い店でささっとみつくろってしまいます。
スーパーに行っても(他人に食べさせるわけではないし、自分だけならいいだろう)と、産地非表示で悪名高いトップバリュとかベストプライスでもついつい手を伸ばしてしまうことも少なくありません。どうしても買うたびに岡田克也氏の「基本苦々しいながらも地元の地方議員が当選したりしてニヤけたような顔」が思い出されて、微妙に思いながらもしぶしぶ買うのもストレスの元です(最近はさすがにナショナルブランドか、ショップブランドはセブン&アイのものにするようにしている)。
そのような日常生活を送っているものですから、もし自分が歯の知識がない状態で歯の治療となったときに「ではインプラントでお願いします」とは、まあ多分言わないでしょうね。
歯の知識がなければとにかく安く上げようとするだろう。
それどころか、歯の知識がなければ検診すらサボるだろう。
<少し楽になって>
自分とは、本質的に、そんな手抜きでだらしない人間なんだ・・・
その辺を受け入れてしまったので、楽になれたんだと思います。
逆に自分がそんな状態なのに、自分のことを棚にあげて
「歯と健康の価値観を長期的に」
「インプラントでかむ喜びを」
などと言っても、言葉に力が入るわけがありません。
私は元来そういう演技はできないほうです。
だいたいが「健康の価値観を長期的に」などと思ったら、こそこそトップバリュなどに手を出そうとしたりしないはずですよね。
だから、そんな自分が「売り込み」を口にすればするほど苦しくなるし、患者様の普通のお断りの返事も、とても気まずく受け取ってしまったりすることになってしまいます。
結局言葉なんて自分の感覚でしかしゃべることができないし、患者様もそれと感覚の近い方が中心になってきます。
少し前までは、(自費率が低い医院は意識が低い医院だ)、みたいな変なプレッシャーみたいなものも自分の中にありました。
それを捨ててしまったらどうなったか。
不思議なことに、自費の額はあまり変わっていないんです。やっぱり税理士さんには怒られそうな数字かもしれませんだ。最近はめっきり勧めていないんですけどね(全く勧めないわけではない)。
保険の方の点数は、やはり1.5~2倍くらいになりました。
保険はとにかく時短の工夫が奏功して、レセプトの件数やアポ帳の人数については大幅に増加傾向にあります。
何か、肩の力が抜けた分、普通のごくありふれた歯医者というか臨床家に若干近づいた気がするんです。
2006年の開業当初は、今とはだいぶ違いましたね。
ついこの間のような気がしないわけでもありませんが、考えてみればあのころは小泉内閣だったわけです。そう思うと時代を感じます。
ちなみに、開業当初は昼休みが2時間で、午前診療開始が10時でした。
世の中なめてますね。
まだまだリーマンショック前だったので、そこそこ景気のいい話もありました。歯科のほうでも高品質=高級化みたいなノリが強くあり、良い臨床=良い治療=自費、的な雰囲気も今よりは強かったと思います。
リーマンショック
政権交代でデフレ悪化
東日本大震災
これらを経て、社会的にも、意味もなく水増しされた費用や、正体の怪しい付加価値などは、世の中からほぼ一掃されたのではないかと思います。
さらには(このデフレ脱却しなければいけないご時世に)TPP大筋合意で、米が5分の1くらいになって、牛丼100円か、なんて話も眉唾ながら聞かれるような有様です(なるべく趣旨を対中関税包囲網に絞って、肝心の中身はなるべくお互い様でグダグダなぬるい感じでやってほしいものです)。
現在はすでに、私の中では
高品質=高級化
良い臨床=良い治療=自費
では全くないです。
*等価でも背反でもなくて、それぞれが独立事象であるという意味
機能の維持、歯の延命がすべてに優先する観点から考えていきますので、その部分と大きな関係がなさそうな部分については、あまり保険とか自費とかこだわらない感じです。
大きな関係がありそうなら、ムチャクチャこだわりますが。
【今回のまとめ】
自分の人となりを無視して生きようとしても、魂に力が入らない