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2015/01/28

昨年考えたことシリーズ、今回はインド編。

昨年は、2010年以来となるインド訪問を果たした。
といっても、ブータンへ陸路で出入国するための足がかりとして、
丸2日ほどの滞在でしかなかったのだが。

それでも、久しぶりにインドの雑踏と喧騒にまみれているうちに、
以前も気になった幾つかの疑問が、改めて沸々とわき上がってきた。

まず真っ先に浮かんだのは、「なぜ牛や犬は路上で寝るのか?」という問い。
インドに限らず、アジアの国々で車を走らせていると、
交通量の多い道路のど真ん中に悠然と牛や犬が寝そべっている光景に出くわす。
道路の脇には、広大な土地があるにも関わらず、である。

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(写真:こんな狭い通りにも牛が!)

もちろん、牧草地で優雅に草を食んでいる牛もたくさんいるが、
一定数の牛は、なぜか必ず道路へと出てくる。

彼らにとっても、車を運転するヒトにとっても、お互いに危険極まりない。
どう考えても、Lose-Loseの関係だ。
それなのに、いったい何が、
彼らをあのような「寝そべり行為」へと駆り立てるのか?

インド、ということで、牛が神聖視されているため、
どこに居ても、彼らの安全が脅かされることはない、という意見もあるだろう。
だが、それはあくまでもインドの牛に限っての話。
他の国の例や、ましてや犬については全く説明になっていない。

動物行動学に詳しい人で、誰か説明してくれる人はいないだろうか。


もう一つの疑問は、交通事情について。
特に踏切などの場面で顕著に見られるのが、狭い道幅に対して、
「扇状にあらゆる方向から我先に車が突っ込もうとしている」光景だ。
そこには、「道に沿って順番に並ぼう」などという意識は皆無である。

これに関しては、なぜ彼らがそういった暴挙に及ぶのか、
といった部分には、実はそれほど興味は無い。
たぶん、国民性とか、そういう言葉で説明されてしまいそうだからだ。

むしろ気になっているのは、交通工学の観点から、
真面目に順番に並んだ場合と、誰もが思い思いに突入した場合とで、
都市交通シミュレーション上、どちらがより効率が良いのか、
という疑問である。

これ、分解すると、2つの疑問を含んでいる。
より効率的に「全体が通過できる」方はどちらか、という問題と、
より効率的に「ある個人が通過できる」方はどちらか、という問題。

前者の疑問は、おそらく、順番に並んだ方が早いだろう、と思う。
というか、そうでなければ、あまりにも衝撃的すぎる事実だ。
世界中の交通事情がエラいことになる。

問題は後者だ。
おそらく、多くのインド人は「いかに自分が早く通過するか」を考えており、
渋滞全体の解消なんてのは知ったこっちゃない。
このとき、自身のいる位置が後ろであればあるほど、
大人しく待つより突っ込んだ方が、通過スピードの期待値は高まりそうだ。
結果、後ろにいるやつほど、前へ前へと迫り出してきて、あの事態を招く。

ここまでの推論が仮に正しいとするならば、どこかに閾値があるはずだ。
そう、どこかのラインより後ろの人たちは、
無闇に突っ込むよりも、きちんと列を作った方が、
通過時間が短くて済むはずなのだ。

ただし。
そこで真面目に、じゃあ自分は待とう、というのは愚策でしかない。
そんなことをしても、どんどん後ろから追い抜かれるからだ。
全員が右に倣えで列を作らない限りは、この論理には意味がない。

そもそも、いったいインドの教習所では何を教えているのだろうか?
インドの教本にどんな規則が書かれていて、
どこまでが守るべきで、どこからが「暗黙知」に頼る部分なのか、
そういうことは、どこまで教えているのだろうか?

これは道路事情に依るところも大きいのだが、
インド人ドライバーは、数センチの隙間もすり抜けるような、
抜群のドライビングテクニックの持ち主ばかりだ。
というより、そうでなければあの国でハンドルを握る資格が無い。
少なくとも、技術面に関しては、かなり凄腕の教官が多そうだが…


以上。
特に学問的な考察も裏付けも何も無い、ただの雑文なので、
何を馬鹿なことを真面目に考えてんだ、とご笑読いただきたいのだが、
もし、上述の内容に触れた論文等を見かけたことがあるという方は、
どうぞご紹介いただきたい。

2015/01/28 12:00 | fujiwara | No Comments