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「取材には施設への申請と許可が必要ですので、よろしくお願いします。」
というGRACEのキャプテン、高嶋さんのメールを思い出したのは取材前日の午後4時@会社。
施設窓口の方が超親切かつテキパキ対応して下さったおかげで、何とか申請手続き&取材許可を頂くことに成功したギリギリボーイズ、フィルコです。
えー、、その節は大変ありがとうございました。
ん?何の話かって?だから取材ですよ、取材。
女子車椅子バスケットボールの練習に突撃取材をしてきましたよ~!
■女子車椅子バスケットボールチーム GRACE
まず、今回取材させて頂いた「GRACE」について簡単に紹介します。
写真はチーム公式HPよりお借りしました。
GRACE 公式HP http://tokyograce.rakurakuhp.net/
1975年に日本初の女子車椅子バスケットボールクラブ「東京グレース」として誕生。
創設35年の歴史を誇る名門チーム。1990年より開催される日本女子車椅子バスケットボール選手権大会では、記念すべき第1回大会から第6回大会まで6連覇を果たしている。
10代~60代までメンバーの年齢層は幅広く、本年度は「楽しむ、積み重ねる、続ける」をモットーに、若手、ベテラン、そして初心者でも、無理なくバスケが続けられるような活動を目指す。
現在、東京都リーグに参戦しつつ、練習や普及活動など都内及び近郊にて鋭意活動中!
・・・って簡単すぎ?(^^;
あせらずとも、GRACE及び車椅子バスケの楽しさについては、この後のレポートでたっぷりと味わって頂きますので!
では早速。
■GRACE練習に突撃レポート!!
≪AM 9:00≫
今回の練習会場は、国立市谷保にある東京都多摩障害者スポーツセンター。通称「多摩スポ」。
受付で取材のパスを受け取り、施設内の体育館に入ると、皆さんちょうど練習前の円陣を組むところでした。キャプテン高嶋さんからご紹介いただき、挨拶をしつつ私も円陣に参加。選手の田中さんより本日の練習メニューが説明されると、シュッと空気が締まる。これは、、久々に味わう「部活」の緊張感だ!。
「1,2,3 グレース Fight!!」
全員で気合を入れる。コールはいつも「一番の若手」の役目だそう。その後5分間ランニングの後で、ストレッチを入念に行います。
フムフム、上半身で全ての動作を行う競技だからね、そりゃあちゃんとやらないとだよなぁ、などとメモをとっていると、「フィルコさーん、中に入ってくださーい。」と高嶋CAP。
メニューは手を「グー・パー」して握力を鍛えるところ。・・・よかろう、まあ、これぐらいは体験しないとね。
と、輪の中に入り「1,2,3,4」と声を出しつつ、グー・パー・グーパー・グー・パー・グー・パー・グー・パー・・・・・こ、これはキツイ・・・・グー・パー・グーパー・グー・パー・グー・パー・グー・パー・・・ま、まだ続くのか・・・・・・グー・パー・グーパー・グー・パー・グー・パー・グー・パー・・・・
・・・・メモをとるのは諦めました。。。この時点で既に手がフルフルフルフルフル(笑)
後にも思い知るのですが、握力はこの競技の要中の要になる体力で、「肉球ができますよ♪」と練習前に言われていたのを実感。
≪AM 9:30≫
ストレッチが終わると次は「チェアスキル」の練習。
「イスの技術」つまりは車イスでのフットワーク練習。ダッシュ、ストップ、ターンを何種類も組み合わせて、試合中に必要な基本技術を身体に覚えさせる反復練習です。これがまた激しい。ダッシュといっても全部手でイスを漕ぐわけです。ターンのたびに気合の声が響き、ストップのたびにタイヤが床をグリップする「ギュギュッ」という音が響く。
ここで代表の多智さん 「はいじゃあ、あなたもバスケ車に乗ろうか。立ってるだけじゃ何もわからないよ~!」
え゛ー!!!マジで乗るの!? と戸惑っているまもなくバスケ車登場。予備用にいくつかあるようで、係員の方がサクッと組立ててくれました。アルミフレームの車体に、ワンタッチで着脱できるようになっているタイヤ。とても軽い。サイズやゴムの種類などもポジションや個人の好き好きで色々組み合わせ可能。
うーん、これは、、かっこいいぞ!ミニ四駆魂が刺激される。イスのカスタムにはまる人も多そうだ(笑)
「ほーっ!」「すげー!!」とか言ってるうちに装着完了。
ご機嫌(笑)
多智さん 「じゃあ早速みんなに混ざってください。頑張って!」
が、頑張ってってww。わたくし車イス自体が初めてで、なんかさっきからクルクル回っちゃうんですが、、、え?、、しかも次はシャトルランっすか!?
シャトルラン・・・バスケ経験者には悪夢の響き。バスケ部の練習でキツかった思い出の練習メニュー第1位。スラムダンクで新入生の頃の魚住が泣きながら吐いた練習もシャトルラン。。
う、ううおおおお!負けるかぁ!!!ここで体育会魂に火がつく。やったろうじゃねーの!!アパッチブースターなめんなよ!!と張り切って挑みましたが、中学生の女の子にも大差で引き離されダントツのビリッけつでした。えへ。
いやしかしキツイ。競技用バスケ車は軽くて小回りが効くので、左右の力のバランスに気をつけさえすれば、進むだけならクセになりそうなほど軽快。問題はストップ&ターン。手でグリップを掴んできっちりブレーキ、最短時間で180度旋回し、すかさず漕ぎ出す。慣れないのでまず、この「180度旋回」がうまくいかない。直線よりターンでどんどん引き離されていく。
実は健常バスケでもこのストップ&ターン動作はとても重要で、単純なスピード以上に重視されるもの。ブレーキ、ターンのたびにグリップを強く握るので、腕も疲れるが何より握力を使う。しかし選手の皆さんの操作を見ていると、力強いだけでなく、手というか、指を使って、むしろしなやかに操作しているように見えた。力が必要なのは間違いないが、操作自体は非常に繊細。こ、これは奥が深いぞ。
皆さんは一通りのチェアスキルの練習メニューをこなして、さらにシャトルランをやってるのに軽々とこなして、「今日は久々のチーム練習だから、走りこみメニューがないので軽め」とか言ってる。失礼ながら結構なベテランの方もガンガンダッシュしてるし、日ごろの積み重ねがなければこうはいかないよね。
≪AM 10:00≫
ここからボールを使った練習。お待ちかねのランニングシュート。やっぱね、シュートだよねシュート。オフェンス馬鹿の俺の見せ場は。
やり方は健常バスケとまったく同じ。45度から走って行ってパスを受け、走りながらゴール下でシュート。で、シュートしたら次の人のリバウンドをとって、さらに次の人にパス。
「なんとかまっすぐ進めるようになってきたし、ゴールしたなら余裕でしょ♪」とか思ってたら、これが、、全然届かない(笑)。かなり近くまで寄ってシュートしてるつもりなのに、ゴールに全然届かない。全速力で進むイス、ゴール下にはリバウンドの選手。パスをもらってシュートしようと重心を上げると、途端に不安定になる。ってかちょっとコワい。
単純に腕の力で投げてもボールをコントロールできない。問われるのは、いかに重心を安定させつつ狙った場所にボールを置いてくるか、そのあとのバスケ車のコントロールも考えつつ、いかにコースを定めて全速力でゴール下に滑り込んでいくか。リバウンドに備え、いかに良いポジションにコントロールして止まるか。
でもこれが分って来るとひじょーに楽しい!!出来る出来ないは別として、自分の体とマシンの操作を一体化させるプロセスが入る分、いつもの健常バスケより、シュートが入ったときの達成感が大きい。ずっとこれやっててもいいなぁ。
しかしながら、楽しさが分っても急にボールの飛距離が伸びるわけではなく(笑)。辛うじてコントロールが効くのはゴールの真下ぐらい。なにしろ健常バスケでは「シュートは足で打つもの」と教わるし、実際距離の長いシュートでも手の力は殆ど使わない。Junkで書いてた安君とか座ったまま楽々3Pシュート打ってたけど、改めて凄いことなんだと思いました。あの化け物め(笑)
次はいろんな種類の対面パス練習
「パスならイスを漕がなくていいからできるだろう。こう見えてもバスケキャリア16年ありますから。ええ。」
と、思っていた時期もありました。30秒ぐらい(笑)。
パスの瞬間は両手をボールを扱うのでイスの操作はできません。物理法則で「作用・反作用の法則」ってのがあるんですが、まさにそれをコントロールしなきゃいけない。パスした反動でイスが動いたり回ったりで全然姿勢を維持できないのよこれが。
とくに片手でロングパスしようとすると、投げる瞬間にクルっと反転しちゃってまったくボールが飛ばない。これは、、だめだ。。。邪魔しちゃいけないんで、私はチェアスキルの練習をさせてもらいました。
回りを見るとみなさん普通にパスしてる。コツを聞いてみたら、やはりイスで重心を操作するそう。片手パスの場合はボールと反対の手でタイヤを操作して、上体の力と、腕を振る遠心力がボールに伝わるようにコントロールしなければならず、試合ともなればこれを全速力で走りながらとか、ディフェンスをかわしながらとか、ターンしながら行うわけ。どんだけ奥深いんかと(笑)。
でも、考えてみれば健常バスケだって同じで、自分の体のコントロールを意識すれば同様に奥深い。自分がいかに何も考えずにバスケをしてきたかを知るよい機会になった。
お次はルーズボールのキープ。
コロコロと転がったボールに走って(漕いで)追いつき、タイヤの回転を利用してボールを押し付け巻き込むように取る。これ私的イスバスの一番カッコイイ動き。すーっとボールに近づいて、クルっと巻き取る。カッコエエわ。
これは志願してやらねば。という事でやらせてもらいました。(ので写真がない。)・・・・これはけっこう出来た(-▽-)フフフ。日頃のイメージトレーニングが効いたな。皆さんの半分の練習量にしてもらったけど(笑)。でも試合中に意識しないで出来るまでは、だいぶ練習が必要だろうな~。
試合でルーズボールを取れるかどうかは、自軍の攻撃回数に直結します。リバウンドと同様にバスケットマン根性の見せ所なのです。時間をかけてこれを練習する姿勢に、GRACEのチームとしてのバスケへの取り組みを見た気がしました。そういう事を大事するチームは、強弱に関わらずいいチームです。
この辺になると、私を乗せてクルクル回ったり明後日の方向に暴走しまくっていたマイ・バスケ車が、なんとな~く言う事を聞いてくれるようになってきた。
次回 その2、「いきなり試合!!」 「 CAP 高嶋さん」 「バスケ馬鹿」につづく。
なんと、いきなり練習ゲームに出場!?
乞うご期待!!
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