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イタリアンコメディを、オペラ養成所の演技のレッスンで教わっています。
16世紀中期にイタリア北部で発祥した、マスケラをかぶって演じる即興劇です。
調べると「コンメディア・デッラルテの登場人物は、それぞれ特有の名前を持ち、性格・服装・仮面・演技スタイルなどに類型的な特徴を備えている」
という説明がでてくる。
先週はパンタローネを研究して、今週はカピターノ。
パンタローネは相当歳はとってるけど、例えば男性の場合「ジジイだけどその姿は見せたくない。さらに女が大好き。」というキャラ。
仮面をかぶってみた子たちは相当楽しそうにその人物になっていた。
で、今週やったカピターノ。
軍人で(当時の軍人はスペイン人が多く、スペイン訛。Rの発音がやたらと鼻につく)
自分が強い、勇気があると自慢しまくる。
自分の剣を見せたがる。「私の剣さわりますか?」←もはや下ネタにもきこえる。だから笑いも起きる。
美しい人を見つけて、その人の愛のために戦う。
でも、肝心なところで尻尾をまいてドロン!と逃げる。
*パンタローネ(Pantalone)
イル・カピターノ(Il Capitano)
それでも、カピターノはパンタローネほど悪ふざけの心を持ってないし、真面目で冗談の効かないキャラクターなので仮面をかぶるのは相当難しいだろうなぁっと思った。。
現に、かぶりきれなくて素のままで演じるもむなしく真似すらも難しくテンパってしまう人がいたくらいだから。
私は運よく(悪くかな…)「かぶってみるかい?」と先生に勧められたのでチャレンジすることにした。
仮面をかぶる前に、その人物の表情、顔の形、しわから、背景を見出す。
そうして、自分の身体に宿らせる。
その顔をかぶってしまえば、自分とそいつは送ってきた人生を共有していることになる。
仮面って不思議なことにそんな感覚を覚えさせるから不思議。
ヅラと似てるけど違う。
私はカピターノとパンタローネとのコラボに挑戦することになった。
自分の性格も性別も声も表情も違う人物。
本当に、宿らせないとすぐ自分が呼び戻されてしまう。
また、相手のキャラクターをすぐキャッチしないと、自分もおろか相手の存在意義まで殺してしまうことになる。
喜劇なのに、脳内では闘いだった。
先生曰く、この即興は頭の回転をよくするものになる!とおっしゃった。
悪戦苦闘してた私だったけど、「よく宿らせてましたよ」とレッスン後にほめてくださった。。
俳優養成所でモリモリやってた17、8歳のころに、この課題やってたら…きっと落ち込んでたと思う。きっと「スランプだー」と。
やっぱり、自分の中でも満足はいかなかったし。
他人の仮面をかぶってるはずなのに、素の自分が心の中に何度も現れる感覚があるのはものすごく不愉快というか、不自然に感じるから。
真似ごとと、演じるのは違う。
それっぽく見えても、観客の目はごまかせない。