« びっくりサイズのトンガ ~写真編~ | Home | Twitterという恐ろしいツール »
地球の舳先から vol.355
東北(2015)編 vol.7
年越しを日本で迎えたのは、何年ぶりだっただろうか。
元旦の混雑を避けて向かったのは、東北随一といわれる鹽竈神社。
ここの鹽竈神社は、全国にある鹽竈神社の「総本社」らしい。フランチャイズなの?
仙台から電車に乗ってすぐの本塩釜駅。雪を踏みしめながら参道へ向かう。
破魔矢らしきものをぶん回して歩く地元の親子連れもいる。
この階段をのぼっていくのが一興だけれど、車道コースである
迂回道のほうが精神的に楽なので、地元の人はそちらから来るよう。
朝早くだったが、階段の雪の凍結は綺麗に除去されていた。
東京や東南アジアばかりを回っているわたしには、
雪という時点でやたらとテンションが上がるのだが、
この雪見初詣は想像した以上に素晴らしかった。
美しい庭園にはうっすらと雪が積もり、遠くに水平線が見える。
これまた何年前からこのままなのだろう、と思わせる売店で
甘酒と味噌おでんを購入。こちらのこんにゃくは白くて、三角じゃない。
あと、笹かま。味噌は白味噌で、甘い。全国おでん巡りをしたら楽しそう。
三色団子はお土産に包んでもらって、仙台へ持ち帰った。
おみくじを引く。
行動は早いほどよく、積極的に出ていくのが得策。
この時期は豊かな人間関係を広めていく時。
そのためにもゆとりと思いやりのある心が欲しいもの。
物質欲にとらわれるとせっかくの開運が遅れる。直感を大事にしましょう。
すべてにスピードをもって当たること。一拍遅れるとせっかくの好機は逃げてしまう。
情に流されぬよう気をつけよ。ことばが不要なほどの豊かな愛情が育つ。良縁にして幸福。
思わず、苦笑する。
日本の伝統的な宗教がやることって、なんでこう牧歌的なんだろう。
(日本国的な定義上は、神社は宗教ではないんだけれども)
おみくじひとつ取ったって、当たる当たらないとか権威がどうこうじゃなくて
どう捉え何を心がけて生きていくのか、人生哲学と人間性を問われてるみたい。
ちなみに、わたしがこういうところで祈るのはだいたい、「世界平和」。
無宗教なわたしは自分のなにかを神に委ねようという気がそもそもないので、
「神頼みするしかほかに可能性がなさそうなこと」なんて
それくらいしか浮かばない。
でも今回は、東北で眠った方たちのことを思った。
いずれにしても、わたしにはどうすることもできなかったこと。
儚い望みでも、祈りつづけるんだろう。
永遠で当たり前にように思えるけど、なんの保証もない奇跡のような今日。
だから「スピード命、とっととやれ」なのか、神様。そうだよね…。
帰りは別の道から帰ったので、参道の入り口で警備員さんに念のため道を聞いた。
駅までは徒歩5分程度。迷うはずもない。方向の確認をしたかっただけなのだが、
地面の雪に絵を描いて説明をしてくれる。
美しい東北の景色が、自分のなかでまたひとつ増えたことを
いまはただ幸福に思った、新年の明けだった。