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2015/02/17

昨日に引き続きましての連投です。

2月14日、バレンタインデーでしたが、こちらトンガはそんなものは記憶の外に吹き飛ばすような一大ニュースで盛り上がっておりました。主にカトリック教会内ですが。

わたくしは、コラムの初めの方に元修道者であることを明記しておりますように、クリスチャンで、カトリック教会に属しております。そのカトリックの総本山はイタリアにあるバチカン市国。そのトップにローマ教皇(法王ともいいます)がいます。カトリックというのは非常にヒエラルキーのある宗教形態を有しておりまして、教皇を頂点に、司教、司祭、助祭、信徒とクラス分け(語弊があるかな?)があり、助祭以上は「聖職者」と呼ばれ、男性のみで構成されています。そして、修道会というものが存在し、そちらには「聖職修道者」と「信徒修道者」が共に祈り、働いております。シスターってわかりますよね?彼女たちは修道者ですが、聖職者ではありません。信徒修道者です。あまり見かけないんですが、シスターの男性版ブラザーという人たちもいます。僕もそうでした。信徒でありながら、修道生活を行う人たちですね。そして、聖職者たちの中から、特別に教皇から直接選出される枢機卿という教皇の側近たちがいます。

と、こういうカトリックのヒエラルキーの話は置いといて、今回トンガで盛り上がったニュースはタイトルにあるように「トンガ人枢機卿が誕生した」ということ。枢機卿と言うのは、

カトリック教会における教皇の最高顧問である。重要な案件について教皇を直接に補佐する「枢機卿団」を構成すると同時に、個々の枢機卿は、教会全体にかかわる日常的な職務について教皇を助ける。

とウィキペディアにあります。教皇の側近ですね。日本人は過去5名枢機卿に選出されておりますが、既に他界されてますので、現在は一人もいません。そして、彼らは教皇が亡くなった場合、もしくは前教皇のように引退表明した場合に行われる教皇選挙、コンクラーベのメンバーとなります。ロバート・ラングドンの映画化された小説『天使と悪魔』は、このコンクラーベが基軸になっておりましたが、あれはあくまでも映画の話ですが…。教皇選出の条件は、この枢機卿団に属している80歳以下の枢機卿の中から、無記名投票により2/3の票を獲得した人が次期教皇となります。2/3を獲得し、教皇が選出されると、煙突から白い煙、2/3に満たなければ黒い煙で外部に知らせるのは有名な話ですね。そのコンクラーベは「鍵のかかった」という意味で、教皇選挙中はシスティーナ礼拝堂の一室に缶詰にされ、外から鍵がかけられ、選挙が行われるためだったのですが、どうやら2005年のコンクラーベから廃止されたようです。当然、外部、マスコミとの接触は厳禁で、破門されるそうです。彼はまだ53歳という若さで、現在の枢機卿メンバーの中では最年少となり、80歳という規定を考慮すると、2042年まであと27年もコンクラーベに参加することになります。

さて、今回その枢機卿に選出されたSoane Patita Paini Mafi(ソアネ パティタ パイニ マフィ)トンガ教区司教は、実は僕が所属している小教区(街にある教会)の出身でして、ご両親は既に他界されておりますが、彼を含め、彼の兄弟たちは僕の仲良しさん。だから、なおさらのこと驚いたわけです。時々彼のオフィスにふらっと立ち寄っても、時間があれば話し相手になってくれるし、カヴァと呼ばれるオセアニアの土着飲料の茶会みたいな所でも一緒になるし、会うと必ず名前で呼びかけてくれるようなそんな身近な人。穏やかで、面白くて、気さくなお人。ソロモン諸島から帰国する前にトンガに立ち寄った時、たまたま彼の司教叙階式(カトリック司祭の中から司教に任命される式)がありまして、それに参列しました。そういう意味でも、何かと関わりがあったりするし、その叙階式の祝いの席、よくわからないまま、半ば旅行客の自分がそこの学校のブラスバンドに放り込まれ、そこでその学校の校長先生に会って「君はどこの誰?」という話からトンガに居着くきっかけにもなった。あの年に彼が叙階されてなければ、僕はトンガで生活することにはならなかったんですよねぇ。ある意味、彼が僕とトンガとの接点だったりもします。

彼はトンガ教区司教でして、直接的にはトンガとニウエ(という人口1800人ほどの小さなトンガの隣の国で、NZ領)を担当してますが、同時に枢機卿としてオセアニア全域(多分オーストラリアとNZを除く)の司教顧問となるとのことで、彼の管轄エリアが、現在のカトリックでは最広域となるそうです。

因みに今回の選出ではトンガの他、大西洋の島国カボベルデ(すいません、初めて聞きました)やバチカンと外交のないミャンマー、ベトナムなどからも選出されて、「貧者のための教会」を掲げる教皇の途上国重視、脱西洋重視が浮き彫りになっているようです。新しい風を教会に吹き込んでください。

Epikopo

真ん中が新枢機卿、両端の太いのが彼の兄弟達。

2015/02/17 07:02 | suzuki | No Comments