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前回のコラムを書いていて、改めて気が付きました。
洋舞(ダンス)では、大人数が同じ振りを合わせて踊るユニゾンにて、一糸乱れぬ程に動きが統一されるほど魅力的なことが多いかと思いますが、そういえば日舞では、創作舞踊の公演などを除くと、ユニゾンの動きをあまり見ません。
そもそも、一人で踊る演目が多く、複数人で一緒に踊ったとしても二人ないし三人がほとんどです。
それも、男役と女役のペアであったりと、それぞれ踊る役柄が異なるために、同じ曲の中で一緒に踊っていても、動きが違うことが多いです。
それでは、複数人が踊る日本舞踊の作品においては、一緒に踊っている人とは振りが違うのだから、自分のペースにまかせて踊るものなのか…と言うと、それは違います。
もしかしたら、踊り手同士が「息を合わせる」ということが、ユニゾン以上に必要かもしれません。
というのも、全然違う振りを踊っている流れの後に、決まるところはぴたりと揃わなければいけない箇所があったり、一方が立つと同時にもう一方が座るといったような、完全に対になった動きも少なくないからです。
ずっと同じユニゾンの動きであれば、仮にずれたと感じたとしても、踊っている最中に相手を見ながら微調整出来るかもしれないですが、違う振りの後にピンポイントで揃うべきところがずれると、悪目立ちしてしまいます。
ユニゾンではないために難しいこととして、普段のお稽古にて、横並びに立っている先生の動きをそっくり真似する習慣があるために、横並びで一緒に踊っていると、全然違う動きなのに、連られて相手と同じ振りを踊ってしまいそうになるということがあります。
ですから、相手と息を合わせなければならないながらも、相手の動きを意識し過ぎると、自分が混乱してくる恐れがあります。
前回の稽古場公演にて二人組の踊りを踊りましたが、お互いのスケジュールがなかなか合わずに、本番直前まで二人で合わせながらの稽古が出来ず、一緒に稽古した回数は何回だろうと指で数えられるレベルでした。
それにも関わらず、お客様からは、「息がぴったりだった。揃う様になるまでどの位稽古をしたの?」と好評でした。
僕自身、「思ったよりも揃ったな…」という実感がありましたが、その要因としては、お互いに音を意識していたことにあると思います。
日本舞踊の動きに、床を足で踏んで「トン」と鳴らした音でリズムを刻む、さながらタップダンスかの様なものがありますが、流れている曲の中で、どの三味線の音に合わせて足音を鳴らすかなど、お互いが音に細心の注意を払っていると、結構二人の息が合ってくるものです。
日舞に限ったことではありませんが、「踊る」ことにおいては、身体を動かすことと同じくりいに、音をきっちり聴くことが重要だと思わされます。
さて、ユニゾンが少ないと述べてはきましたが、大人数で同じ動きを踊ることが魅力的な日本舞踊作品もあります。
「元禄花見踊り」などの、“総踊り”と呼ばれるカテゴリーですが、踊りの会のフィナーレで、それまで踊ってきた全員が出てきて一斉に踊るようなイメージです。
それまで、ずっと1~2人程度で踊っていたのと同じ空間に、突然大人数が現れて踊るのですから、それまでとのギャップもあって圧巻ですね。
次回は、「時代考証は必要か?」(古典芸能)をテーマにしたコラムをお届けします。