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2014/11/30

ベレン・トメアスー訪問記③ 何とか梅田大使一行に合流 14/11/18  サンパウロ新聞WEB版より 

 

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CAMTAのジュース工場で何とか梅田大使一行に間に合った

坂口理事長の車に便乗し、次の目的地へ
 梅田大使のトメアスー各施設の訪問予定では、午後1時にトメアスー総合農業協同組合(CAMTA)のジュース工場を視察した後、午後2時には約30キロ離れたEMBRAPA(ブラジル農牧調査研究公社)に向かい、その後第2トメアスー移住地の日本人農業生産者の農場に行くと事前に聞いていた。
 何とかCAMTAのジュース工場で梅田大使一行に合流しないと、その後の取材は全くできないことになる。時計を見ると既に午後1時半。
 地元のバイク・タクシーを頼んだがなかなか来ないので、投宿した店番のブラジル人の若者が「10レアル出せば俺がバイクでジュース工場まで行ってやる」という。時間も迫っていることもあり、仕方なくバイクの後ろにまたがった。
 十字路(クワトロ・ボッカス)を通り過ぎ、幹線道路をバイクで15分ほど行くと右手にCAMTAの工場が見えた。工場内敷地にバイクごと入れてもらい、地元文協関係者たちに事情を説明すると、丁度梅田大使夫妻一行が乙幡会長と、CAMTAの坂口フランシスコ理事長の説明を受けて工場から出てきたところだった。
 工場の説明は聞けなかったものの何とか一行に合流でき、次の訪問地に向かうため、坂口理事長の車に便乗させてもらった。

 車内で坂口理事長にジュース工場の生産量や過去最高に値段の良い(9月20日時点)コショウやカカオについて聞く。
  それによると、冷凍ピューレ(ポルパ)の生産量は昨年5000トンで年々増えているという。アサイーが全体の40%を占め、残りはクプアスー、アセロラ、 マラクジャなど。特にアサイーは日本のフルッタ・フルッタ社(東京)と業務提携しており、数年前からトメアスーに同社の事務所も開くなど、CAMTAでの アサイーの生産量は「3年前に比べて3倍に増加している」(坂口理事長)そうだ。
 コショウは「今まで見たことがない値段」と坂口理事長が驚くほどで、生産者の手取り分で黒コショウが1俵1000レアル、白コショウが1俵1500レアル。その7割がアルゼンチン向けで、残りの3割はアメリカ、ドイツ、日本に輸出されるという。
 また、カカオはニューヨーク市場の値段で、1トン当たり3000~3200ドルで取引されている。
  現在のCAMTAの組合員数は約160人。うち、3割は非日系で全体の会員数も増えている。「一番のポイントはいくら生産性や値段が上がっても、会員数が 伸びないと持続性も止まる。何と言っても持続性が最も大事」と坂口理事長。「値段が上がるのはうれしいが、下がった時のことも考えて対応していく必要があ る」と気を引き締めている。
 1989年から6年間、日本で出稼ぎ経験のある坂口理事長は、95年にトメアスーに戻ってき た時、防犯対策として地元の日系人たちと当番でパトロールを行ったことがある。その中で「盗難防止を完全に解決するためには、地元の住民に農業を教えてい かなければならない」と悟った。
 CAMTA会員の小長野道則氏(55、鹿児島)が地元民たちになぜ窃盗を行うのか聞いたところ、「自分たちは日系人の下で働いているだけで、自ら農産物を作ることはできない」との返答で「農業を覚えたい」との希望があることを知ったそうだ。
 小長野氏はそのことをきっかけに20年以上にわたって地元民に農業生産技術を教授。そうしたことを踏まえてCAMTAでは、トメアスーの各地に農業技術指導員を派遣して毎年2軒ずつ育苗施設を増やし、現在は13軒の施設がある。
 地元民の生活を農業によって安定させることで、地域の治安維持を図っている。(つづく、松本浩治記者)

2014年11月18日付

2014/11/30 07:21 | wada | No Comments