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2014/11/30

ベレン・トメアスー訪問記④ 森林農業を親子で実践する笹原家族 14/11/21  サンパウロ新聞WEB版より

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EMBRAPAで関係者の話を聞く梅田大使(左から2人目)ら

笹原さん(後列中央)の農場を訪問した梅田大使一行
 CAMTA(トメアスー総合農業協同組合)の坂口フランシスコ理事長の車に便乗し、車内で話を聞いているうちに午後2時半にEMBRAPA(ブラジル農牧調査研究公社)に到着した。
 同施設敷地内で梅田大使一行を囲んで、EMBRAPA関係者の話を聞く。それによると、日本人のアマゾンの農業への貢献は主にコショウ栽培とジュート(黄麻)栽培が挙げられるが、1970年代にパラー州GDP(国内総生産)の30%を占めていたコショウ栽培は現在、2%にも満たないという。
 同公社は現在、クプアスーやアサイーなど熱帯果樹の新品種を研究しているが、今後は農業技術員の育成施設に変えていきたいとの考えもあるそうだ。

 梅田大使からの「JICAとの協力関係については」との質問にEMBRAPA関係者は、JICAを通じて第3国へのアグロフォレストリー(森林農法)の技術移転を挙げ、コロンビア、エクアドル、ペルーの3カ国に今年だけで30人の育成を行っていると答えた。

 梅田大使は「せっかく良い生産物を作っても道路が悪ければ運べない。日本政府もできる限りの協力をしますので、ぜひEMBRAPAからも(伯側に)働きかけていただきたい」と要望していた。

 同敷地内には「ムルシー」と呼ばれる熱帯果樹の実や花を付けたさまざま樹木が試験用に植えられており、梅田大使夫妻は「良い匂いがしますね」などと言いながら表情を和ませていた。
 一行は第2トメアスー移住地内にある「笹原農場」へと向かう。
 午後3時、同農場に到着。主人の笹原富雄さん(75、山形)と一人息子の邦一(くにかず)さん(47、2世)が出迎えてくれた。
 時間が限られているので、農場の一部を車で案内された後、大きな家の軒の下で梅田大使一行に冷たい飲み物や果物が振る舞われた。
 その間、梅田大使が笹原さんに質問し、熱心にノートを取っていた。
 CAMTAの組合員である笹原さんの土地には、ドミニカ産とブラジル産を交配したマホガニー(モギノ)と、カカオ、バクリの熱帯果樹やカスターニャ・ド・パラーなどが一緒に混植されており、25ヘクタールは原始林としてそのまま残しているという。
 現在、息子の邦一さんがカカオ生産を中心とした森林農法を継いでいるが、7人いる孫のうち、2人が農業関係で働き、1人は農大に通い、別の1人は森林技師として従事しているそうだ。
  1962年に第2トメアスー移住地の第1次入植者として同地に入った笹原さんは、「当時は逃げ出したくても経済的に逃げ出せなかった。その辛抱が今の形に なった。金は残せなかったが、開拓してきた土地を孫の代になって元の原始林に戻すことができた。自分がやって来たことを子や孫が理解してくれることがあり がたい」と充実した表情で語り、陽に焼けた顔をほころばせた。(つづく、松本浩治記者)

2014年11月20日付

2014/11/30 07:25 | wada | No Comments