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2014/11/27

先日数年ぶりにアメリカに行った時のこと。

NYからボストンへの国内移動の為に、空港の搭乗口前の座席で待っていると、
スパニッシュ風の女性が声をかけてきた。

ヨーロッパのスペイン人、ではなく、南米系のスペイン語圏の女性風。
スペイン語は分からないから、もしかしたらポルトガル風だったかもしれない。

彼女の母国はどこか、は分からないが、たどたどしい英語に、別の言語が混じりつつ
公衆電話でここに電話がかけられるか、と聞かれる。

番号を見ると、クォター【Quarter】2枚、25セント2個でかけられるエリア。
私もついさっき、友人に電話したばかり。

自信を持って頷く。

彼女はありがとう、と言って、
ソファーの目の前にあったPayphone、公衆電話に向かう。

読みかけの本に戻った私の耳に、がちゃりがちゃりとコインが落ちる音がする。
よくあることだけれど、コインの問題で公衆電話が受け付けず
そのままお金がが受け口に戻ってきてしまう。

日本でも自動販売機でよくある風景。そんな時には別のコインを入れればいい。
ところが、他にコインがなかったのか、しばらくすると音が止む。どうやら諦めたよう。

自分の財布を見るとクォーターが2つ。
彼女に声をかけ、これで試してみたらいい、と差し出す。

Try again with these.

意味がわからない、と困惑げの彼女。
それでも同じ言葉を繰り返し、コインを差し出すと、彼女は受け取り、
このアジア人の女性は何を伝えたいのか、という雰囲気満々で、公衆電話に向かう。

チャリンチャリンとおさまるコインの音。
それからどこかの外国語で会話をはじめる彼女。

電話が終わると、やってきて

Thank you!

とすごくすごく嬉しそうに笑い、お礼を言われた。

You are very welcome!

笑い返す私、そしてまたそれぞれのソファーに座り、飛行機を待つ。

きっとコインが悪かった、なんて思いもつかなかったのだろう。
言葉でコミュニケーションができなかった分、
訝しげな表情と、お礼を言われた笑顔の差に、言葉以上に気持ちが伝わってくる。

そんなことを最近ふと思いだし、
結果日本円にして50円をあげたことになるんだなー、と気がつく。

すごく小さなことで、自分でも何気なくしたことだったけれど
迷惑じゃないか、出過ぎじゃないかとほんの一瞬も躊躇することもなく、
親切な心、ってああいうことか、と思う。

お互いが外国人、そしてしがらみのない旅先、故の素直さだったのか
自国日本でも、もっと素直に行動できるといいのにと思う。

2014/11/27 01:53 | masaki | No Comments