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2014/11/24

先日、1月出演予定の「フィガロの結婚」の音楽稽古で、いらしてたキャストがスタート時に
マチネソワレの伯爵お二方
ソワレのケルビーノ(ズボン役)
3人しかいないときがありまして、はじめは各々のソロアリアの音楽稽古をやりました。

私演じるバルバリーナのソロは作品の終盤。
伯爵がことづけと共に女中スザンナにピンを返しに届けるおつかいを頼まれたのだけど、
そのピンを夜の森の中でなくしてしまい
「なくしたーご主人様に叱られるーどないしよー」と嘆いて這いつくばって探す…ただそれだけの内容

この見開き2ページの短い曲を先日声楽のレッスンでみていただいたのですが
「この役は若手や新人が経験する。
しかも、このシーンしか歌わないしアピールしたいがために力込めて歌う人がほとんどだけど。
心情を理解して言葉をたててさらっとストレートに歌うのがいいんじゃないかな」とアドバイスをいただいたのでした。

このバルバリーナという役が1幕にも2幕で他の役の台詞内で名前を出してもらってはいても、2時間以上姿を現さずこの終盤まで歌うことがないことに何か意味があるのではないか?と思っているのですが…
なかなかまだ答えにたどり着きません。

以前出演した「フィガロの結婚」での演出家は

伯爵夫人と女中スザンナが何時間も引っ込むことなく出ずっぱりで、客席がその女声2人に飽きてきたまさにそのとき、バルバリーナという小娘を登場させることでマンネリ化を防ぐのだ!
とおっしゃっていましたが、それも1つあると思います。

女中スザンナの従姉妹であること
夫人を愛するケルビーノのことを夫にしたいくらい好いていること
バルバリーナ自身も伯爵からちょっかいをかけられていること
お父さんも屋敷で働く人間であること
自分の欲求のためにはキスくらい軽くできる、ませた娘であること

この点から、バルバリーナ像は想像できても、メインキャストの関係性や作品にどうアクセントになっていくかをもっと考えていかねばならないな…
というのが脇役ならではの課題であります。

出番がとても少ない役なので、
「そんな役受けなくてよかったんじゃない?」という方もいますが
作品全体からどう関係していくのか、この役があることによって何が進められるのかを研究していくのが、脇役こそ楽しいものです。
ただ、すごくメインキャストの行動に刺激を与え、全体的に重要であろう問題発言台詞があるシーンをカットされたため、なんのためにこの役が登場するのか?演出的にどんな役として捉えられているのか、
とても腑に落ちないこともあります。

2014/11/24 09:45 | uika | No Comments