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2014/10/31

9<ナイン>〜9番目の奇妙な人形〜
【9】2009年

この11月にティム・バートン展があって、
あちらこちらにポスターが貼り出されている。

ナイト・メア・クリスマス【1993年】が大好きで、
実写ならスリーピーホロウ【1999年】が好きで、シザーハンズは後から見た。

正直ナイトメア以降のアニメーション作品に、
ピンと来るものはまだないけれど、ティムバートン、とくればとりあえず見る。

そんなある日、彼が気に入った短編映画を、監督じゃなくてプロデュースして
長編映画にした、という『9』を見にいくことにした。

最初から最後まで暗くささやくような映画で、
ナイトメアとは異なり、ティムバートン特有の、コミカルさがない。
確かに別の監督の作品だ。

なのに、藁人形のような主人公の緩んだ顔の輪郭とか、
意外にしなやかに動く体の線が、全体の暗さをやわらげる。

少しの山場と、少しの悲しみをたずさえながら、話はうねりうねりと進行する。

背中に“9”が描かれた“ナイン”、部屋からさ迷い出たところを
“2<ツー>”に拾われ、出なかった声まで治してもらう。

それなのに、ツーは赤い目をした機械の野獣に連れ去られる。

その後、背にそれぞれの数字を持つ人形たちとの出会いがあるものの
1<ワン>がリーダーとなった一団は、ひたすら身を潜め、
ビーストタチが眠りにつくのを待っている。

逃げ遅れた仲間すらも見捨てようとするワンに賛成できないナイン、
ある時、5<ファイブ>に、一緒にツーを助けに行こう、と説得する。

あそこにナンバー2がいる、行こう、というナインにファイブが答える。

ダメだ あそこへは行けない。
Oh no. We can’t, not there

それがルールだ
We have rules.

そんなファイブに更に問いかけるナイン。

1<ワン>が言うから?
Why do you listen to 1 ?

するとファイブが、ポロリと言う。

リーダーだからね
A group must have a leader.

TheではなくAが名詞に着くと、いわゆる一般論的な事を指す。

直訳すればグループにはリーダーが必要、
グループができればリーダーが必要。

その答えはつまり、リーダーが必要なだけでワンに賛成している訳ではない。
けれどグループで動き、生活をするならばリーダーが必要と思っている。

自分がリーダーになるわけではないけれど、
特にワンに信頼を置いてリーダーとしている訳ではない。

本当にグループというものはリーダーが必要なのだろうか?
イエス、共同生活や、助け合って生きる為には、取りまとめは必ず必要。

そこでナインは再びファイブに問いかける。

間違っていたら?
But What if he’s wrong?

そう、リーダーは決めるだけではダメだ。
リーダーと自分はコミュニケーションを撮り続けるべきであり
自分とリーダーの間に大きな考えの違いがないかは
そのリーダーを選んだ自分が責任を持つべきこと。

それこそ、いい加減な選び方をすれば、自分以外の人々に
結果、迷惑をかけることになるのだな、という構造を
ちょっと真面目に考えてしまった。

ナインが主人公のこの映画ですが、ワンもリーダーとしてそれなりに考え奮闘。
そのせめぎ合いちょいちょいいろんな所に出てくる。
そこがまた人肌っぽくて、親しみが湧く。

2014/10/31 11:51 | masaki | No Comments