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馬場さん(仮名・40歳)は、レインボーサポートネット(RSN)のメール相談の常連です。
2,3ヵ月に1回はメール相談を寄せられ、延べ回数は20回を超えます。
馬場さんは、バイセクシャルの男性で、現在は独身ですが、離婚歴があります。
現在は男性とお付き合いをしているということです。
馬場さんがRSNに相談を寄せられるタイミングにはある法則があります。
それは「また主治医を変えました(笑)」というメールの冒頭でわかります。
馬場さんは、もう10年以上、精神科や心療内科に通院しています。
そして、何度も何度も、おそらく本人も数えきれないくらい、病院や主治医を変えているのです。
そう、いわゆる『ドクターショッピング』の常連なわけです。
時には、同時に複数の診療所を掛け持ちすることもあるようで、薬の服用に関しても、どうやら医師の指示に忠実に従っている様子が伺われません。
様々な医師にアドバイスをもらい、薬の処方を受けているにもかかわらず、結局、自己診断を繰り返して、自分の考えに合う医師や医療機関を求め続けています。
病名も主治医によって、様々なものを付けてもらい、もう何が馬場さんの真の病なのか、よくわからない状況となっています。
ひょっとすると、心の病なのではなく、馬場さん本人の性格の偏りなのかもしれません。
メール相談を重ねる中で、実は、馬場さん自身が自分自身のことをよく理解していることがわかりました。
ドクターショッピングの問題点もよくわかっていらっしゃいます。
それでも、自分の理想とする医師や医療を求めて、また新たな医療機関の門をくぐるのです。
おそらく担当する医師にとっても、厄介な存在なのではないでしょうか?
実際、厄介払いに近い形で、診療の継続を拒否されたこともあるそうです。
でも、これは、通院の必要性が無いと判断されたものだと思われるのですが、馬場さん本人は納得がいっていません。
「ある程度、、長い時間をかけて診てもらうことも必要なのではないですか?」という私の問いに、「僕は、フィーリングが合わなくなるともう無理なんだ。この先生ダメだと思ったら、もう信用できない。自分のことは自分がよくわかっているからね。トンチンカンな事を言う医師はこちらから切るよ」という返事。
馬場さんは、いつの日か、理想の医師と医療機関に出会えることができるのでしょうか?
慣れとは恐いものですが、馬場さんは、ドクターショッピングに慣れ過ぎてしまったのかもしれません。
ドクターショッピングに走ってしまう馬場さんが悪いのか、馬場さんに満足な医療を提供できない医師や医療機関が悪いのか、私には未だに判断できないでいます。
馬場さんと同じような状況の方、意外と多いのではないでしょうか?