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階段を登りきると、
だんだんとここも、
秋の空、
まだ色付く前のイチョウが、
ゴッホの糸杉のように、
秋の空に伸び、
秋の空をかき回し、
秋の香りを、
銀杏に伝えて、
地上に降らせています。
東京の秋を見に行こうと、
この場所に来たものの、
イチョウは未だ秋色に染まる事なく、
青々と茂っていますが、
イチョウの木の下まで来ると、
もうここには、
すでに秋の香りが届けられております、
秋の空を見上げると、
オレンジ色に熟した銀杏の実が、
発酵を始めたかのように、
イチョウの枝にたわわに実り
秋の銀杏の香りを、
空から届けています、
私たちは、
昔懐かしいこの店で、
今回だけは娘を連れて、
イチョウ並木の秋を見ながら、
テラスでお茶も良いのですが、
それよりももっと落ち着く場所があります、
そこは白い珪藻土の壁で覆われ、
柔らかで肌触りの良いソファー、
そして大きな窓のある部屋、
そこから見えるイチョウ並木の風景、
この店で季節を感じるには、
この場所がベスト、
席に着くと、
私はキハチトラフルロールとアイスコーヒー、
娘は秋のケーキ3種にジンジャエール、
そうそうここのジンジャエール、
確かフレッシュジンジャーを使っていたはず、
絶対にここでしか飲めない味の、
ジンジャエール、
娘が一口飲むと、
びっくりしたように私の方に顔を向け、
ママがすかさず娘に向かって微笑みます、
ここのジンジャエール美味しいでしょ、
ジンジャーが利いてるでしょ、
そう言えば、
今朝、
ママが秋を見に行こうと言ったのが、
今日の始まりだった事を、
思い出しながら、
ロールケーキを一口、
都内で秋と言ったら、
外苑前の黄色に色付くイチヨウ並木でしょ、
確か始めて来たのは、
40年以上前のこと、
12月の月に照らされて、
静かに黄色く色付いたイチョウ並木が綺麗すぎて、
いつまでも見ていたような気がしてきた、
それからどれだけ、
ここの黄色く色付いたイチョウを見た事だろう、
自分では気がつかなくても、
時間だけは勝手に走り去って行くようです、
ひとしきり、
まだまだ紅葉の始まらなかった、
イチョウ並木を見ながらの、
お茶を終えて、
店を出ると、
年配のアベックが、
キャッキャ言いながら、
道ばたに転がる、
熟した銀杏を拾っています、
年配のアベックの回りには、
2人のために、
熟した秋の香りが、
拾いきれない程届けられておりました、
そうか、
普通のお父さんの休みは、
家族と出かけて、
散歩したりお茶鵜を飲んだりするんだね、
私ずっと前から、
普通の家の、
普通のお父さんは、
休みの日には、
何をしてるんだろうと思ってたけど、
休みの日には、
家族と散歩したり、
お茶を飲んだりするんだね、
私、今分かった気がする、
そんな娘の隣では、
秋にはまだ早かった外苑で、
バックからビニール袋を取り出して、
黙ってしゃがんだママ、
熟した銀杏の実を潰さないように、
そっとビニール袋に、
入れています。