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皆さん、おはようございます。
これから具体的な設定に入っていきますが、
そこで、この話の主人公にまつわることを考察しておきたいと思います。
このヒロインにはあるものが3種類出てきます。
それは、花です。
まず、タイトルにもなっているように、
「カメリアの花の貴婦人」・・・そう、カメリア、椿です。
原産は日本のようですが、18世紀頃、フィリピンで種を入手した修道士が、
ヨーロッパに持ち込んだようです。
そして、オペラの主人公であるヴィオレッタ・・・これはスミレです。
最後に、原作における主人公の名前はマルグリット・ゴーチェ。
この、マルグリットはマーガレットです。
コジ以来、花言葉を無視することが出来なくなってしまいました。
椿の花言葉は、贅沢、おしゃれ、至上の愛らしさ、などというのがあります。
控えめな優しさ、などというのもあるのですが、目立つ花言葉が上記のもの。
スミレの花言葉は、貞節、誠実、というところ。
そしてマーガレットは、恋占い、真実の愛、という言葉が目立ちます。
花言葉を調べて、私は台本作家ピアーヴェとヴェルディに、
軽い憤りを覚えました。
よくもスミレなんてありきたりなものに押し込めてくれちゃったな!と。
この主人公はマルグリットでなければいけません。
ならば・・・と決意しました。
これらの花を、舞台にそのまま出してやる、と。
名前の意味合いだけで勝負できないのであれば、
実物を見せるより他に手段はありません。
そして、このヴィオレッタの職業ですが、
原作、オペラ版ともに「高級娼婦」とある。
今のところ、日本人の身近なところで、
これに該当する職業はありません。
昔ならば吉原などの太夫さんがいたのですが、
正確な知識が一般にあるとも思えず、
また、そんな特殊な世界を繰り広げる金もありません。
高い風俗、というのであれば、
最高峰にはソープランドというものが存在しますが、
実質的に行われていることは売春には違いないものの、
そこは、お金さえ持って行けば誰でもが等しく遊べる世界です。
普段どんなに貧乏な人であっても、
何ヶ月、何年とお金を貯めさえすれば、
数時間で何十万であろうが、ちゃんと遊べるのです。
そしてソープランド以下、如何なる風俗であろうとも、
その日遊ぶお金さえあれば、その日は絶対に遊べます。
門前払いを食わされることはない。
継続的かつ圧倒的な経済力や政治力がものを言い、
それがなければ、一晩遊ぶことすら拒否される世界。
しかし、何かのきっかけで真っ当な愛情関係が成立すれば、
一般人男性が関係を結ぶことも不可能ではない女性たち・・・
そして、性は売り物にしていて、
一般的な女性からは敵視されたり軽蔑されたりもする・・・
これに一番近い女性の職業は何だろうか、と考えた結果
ある職業に行き当たりました。
それは、AV女優です。
・・・と、言いたいところなのですが、
別にAVに限ることはありません。
Vシネマやポルノ映画の女優など、
映画に出る限り、脱ぎ、ベッドシーンが期待されている、
そういう脱ぎ専門の女優であれば問題ありません。
彼女らは一般的には高嶺の花です。
個人的な紹介でもされない限り、
関係者など、一握りの人間以外と関係が生じることもない人たちです。
しかし、高嶺の花とはいいつつも、
その職業をもって、故郷に錦を飾ることが出来るか、といえば、
それはノーでしょう。
しかし、良識的な方々は少しほっとして下さい、
そして、好色な男性たち、どうぞがっかりなさって下さい。
露骨にベッドシーン撮影を繰り広げたりは致しません。
あくまでも、設定でしかありません。
一番の狙いは、そういう女性がヒロインである、
という点で、驚きや違和感を感じていただきたい、ということです。
当時、高級娼婦がヒロイン、ということに、
人々が感じたであろう、驚き、不快感、違和感を再現したいだけなのです。
そして、オペラのタイトルは「ラ・トラヴィアータ」。
道を踏み外した女、という意味です。
彼女が道を踏み外したのは、職業選択の時点でしょうか?
それとも、その職業でありながら、
アルフレードの愛を受け入れたことでしょうか?
彼女にとっての道とは?
周囲の人から見た、彼女のあるべき道とは?
その問いかけこそが、この作品を扱うテーマです。