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8月も終ろうとしています。
その時期になぜこの話題…?と僕自身もタイミングを外したと思っており、来年に向けてかどうか分かりませんが、浴衣に関する話題です。
毎年花火大会の時期になると、電車の中で、浴衣を着た男女を目にします。
浴衣は、厳密に言えば肌着であって正装ではなく、それを着て外に出かけるのは、本来はおかしいのかもしれません。
(もっとも、花火大会の様な気取らない場所へは浴衣のまま出かける風潮は、江戸期からあった様です。)
それでも、結婚式や成人式などのごく限られた場以外で、普段は着ることのない、日本人にとって最も日本人らしい衣装を身にまとう流行があるのは、とても喜ばしいことかと思います。
しかしながら、日常で着物を着る機会がない人が、その日だけちゃんと浴衣を着ようとしてもなかなか難しいものがあり、あからさまに着慣れていない様子の人達を多数目にするのも事実です。
我々の様に、着物を着て舞台上に姿を晒すような人間は、着物の着方はとても厳しく注意されます。
踊る人はもちろんのこと、舞台上で動くことなく、唄ったり三味線を弾いたりする人も、着物を美しく着ることにかなり気を使っています。
そういう環境の中にいる人間からすれば、花火大会などで大勢の人達が着慣れていない浴衣を着ている様子を見ると、どうしても幻滅してしまうのはやむを得ないことかもしれません。
以前は、帯の結び方が何を結んでいるのかが分からない光景をよく目にしたのですが、近年は、結び目が先にびっちりと形づくられていて、マジックテープで固定するだけで済む様な、簡略的な帯がかなりのシェアを占めている様です。
そういう帯の結び目は、見る人が見れば不自然ではあるのですが、帯の結び方は、1回や2回でなかなか覚えられるようなものでもありませんので、無理に覚えようとして的外れな結び方をするよりは、その方が良いかもしれません。
結び方を覚えずに済んでハードルが下がった分、ちょっとしたことでも、随分見栄えは変わってくると思います。
特に浴衣男子を目にして非常に思うのは、帯の位置が高すぎるということです。
恐らく、ベルトの様な感覚で帯を締めていると思われ、足を長く見せたいという気持ちもあって、そうなっているのかもしれませんが、元来日本人は胴長短足で、それに似合う様に出来ている衣装なので、おへそがあるくらいのラインで帯が締められていると、どうしても無理がある様に見えてしまいます。
イメージとしては、太っている人の出っ張ったお腹が、帯の上に乗っかるくらいの位置が望ましいでしょうか。
ですから、痩せている人が浴衣や着物を着る場合、タオルなどでお腹につめものをしないとうまく収まらないものです。
ただ、自分の体型にとって、どのくらいつめるのかが丁度良いかなども、何度も試行錯誤してみないと分からないので、たまにしか着ないのであれば、無理につめものをしない方がよいと言えるかもしれません。
そして、男性の帯を横から見たときに、前の方より後ろの方が少し上がって、斜めのラインが見えるのが望ましいです。
まさに、出っ張ったお腹にきれいにフィットする様な形になりますね。
細かいことを言っていたらキリがないですが、帯をベルトの様に認識されている浴衣男子の皆さんが、思っているよりも帯の位置を下げる、そして、前よりも後ろが上がるという意識を持つだけで、だいぶキマッてくると思います。
一昔前の任侠映画などには、着流しを物凄く格好良く来た俳優さん達が沢山出てくるので、参考してみると良いかもしれません。
折角、日本人が一番日本人らしく映える格好をするのですから、それを格好良い方法で着ることが出来たら最高ですね。
次回は、「最強のパフォーマー」(古典芸能)をテーマにしたコラムをお届けします。