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11年のアメリカの生活を終え、日本に帰国してから12年がたち、
とうとう大人になってからの日本滞在歴の方が長くなった。
こうなると、アメリカに住んでいたことが、幻にも感じる。
そんな中、NY時代に務めた会社の社長の墓参りに、
6泊4日の弾丸旅行でNY-ボストンへ行って来た。
墓参り当日、駅で待ち合わせ、皆で遅めの朝食を食べる。
朝食と言えば、卵料理。
オムレツにスクランブルエッグ、目玉焼き
ハッシュドポテト、マッシュドポテト、フレンチフライ
パンだって、トーストなのか、イングリッシュマフィンなのか、ウィートなのか
と
とにかく選択肢が多い。
ひととおり注文し終わり、皿が運ばれる。
スクランブルエッグとハッシュドポテト、
イングリッシュマフィンを注文した私の皿にはトーストが、
オムレツとイングリッシュマフィン、
フレンチフライを注文したはずの友人の皿にはハッシュドポテトが
それと同じで!と注文した社長の奥さんの皿には
オムレツとフレンチフライだけで、パンがのっていない。
かろうじて『イングリッシュマフィンを頼んだんだけれど』と伝える私の声に
被さるように、『I know, I know』とウエィトレスのおばさん
数分して皿がやってきたその上にはイングリッシュマフィンがふたつ。
間違えたトーストを持っていく気配もない。
注文時に、オムレツはチーズ入りができるの、とか
ポテトはフレンチフライになる?とか、
イングリッシュマフィンがあるなトーストじゃなくてそっちがいいわ、とか、
いろいろ会話したのに、あれはなんだったんだ、と。
どれひとつとして正しいオーダーが揃った皿がないとは!
そんな雑多なサービスに、
『このパン食べちゃおうっか、ん、意外にうまい』
とか、
『フレンチフライこっちの食べなよ』『まぁハッシュドポテトでもいいか』
と食べ始める私たち。
なにしろこの出てきたメニューを正しく取り替えるのに、
これがまた労力がいることを知っているみんな。
その力を発揮すべきタイミングは今ではなく、絶対そのうちまたやってくる。
何も朝食ごときで体力を使ってしまう場合ではない。
そんな旅の思い出。
そうだった、アメリカって、NYって、そんな土地でした。
幻だったアメリカでの生活が、
あっと言う間に、ちゃんとした記憶になって蘇った一瞬でした。