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2014/06/14

2014FIFAワールドカップ、ブラジル大会が開幕した。
開幕カードは、開催国ブラジルがクロアチアを3-1で破って幸先良いスタート。
これから、7月14日の決勝まで、1ヶ月に渡る熱戦が繰り広げられる。

今回のブラジルW杯、ちょっとだけ現地観戦を考えて、
念のためかかる費用を試算してみたのだが…
少なくとも50万円は下らない、という結果となり、あえなく断念した。
日本ブラジル間の往復航空券はそれほど高騰しているわけでもなかったが、
とにかく、ブラジル国内の国内線と宿泊が異常に値上がりしていた。
インフラ整備の遅れも指摘されており、交通・宿泊の面では、
おそらく、多くのトラブルが頻発することになるのではないかと思われる。

さて。
このコラムで、国別の戦力分析などをしてみたところで、
さほどニーズは無い、というか、場違いであることは承知しているので、
ここは少し目線を変えて、せっかくの機会なので、
ブータンのサッカー事情について紹介してみようと思う。


ブータンは…
現在、FIFAランキングで最下位(207位)タイ。
同率でサンマリノとタークス・カイコス諸島と並んでいる。
ちなみに、タークス・カイコス諸島なんて初めて聞いたが、
どうやら、西インド諸島に位置するイギリス領、らしい。

ランキングポイントは0ポイント。
これは、直近48ヶ月の間に、全敗(引き分けもなし)していることを意味する。
今回のワールドカップの予選には出場すらしていない。

以前のコラムでも触れたことがあるが、
ブータンは、かつて、2002年の日韓ワールドカップの裏で、
「The Other Final」を戦ってちょっとした話題になったことがあった。

ときは、W杯本大会決勝と同じ2002年6月30日。
場所は、ブータンの首都ティンプーのチャンリミタン・スタジアム。
当時のFIFAランキング202位のブータン代表が、
ランキング最下位(203位)のモントセラト代表を迎えて、
国際Aマッチとして、公式に「最下位決定戦」が行われたのだ。

ちなみに、Wikipediaでは、同試合の観客数が25,000人と記してある。
同スタジアムの公式な収容人数も25,000人となっている。
が、現地を訪れたことのある実感として、
どう考えてもこの数字は盛り過ぎではないかと思われてならない。
日本で、同規模のスタジアムを探したところ、等々力陸上競技場が該当した。

比べてみると…

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チャンリミタン・スタジアム ©Osman Veldan

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等々力陸上競技場 ©WAKA77

スタンド部分の収容人数は割といい勝負に見えるが、
等々力が四方スタンドで囲まれているのに対し、チャンリミタンは半分しかない。
多めに見積もっても、15,000人程度と思われるのだが…
真相は、今度渡航した際に、もし覚えていれば検証してみたいと思う。

試合結果は、ブータンが4-0でモントセラトを下して、最下位の汚名?は免れた。
ただ、モントセラトにとっては、完全アウェイに加えて、
スタジアムが標高2,000m超の高地に位置しており、
これがそのまま実力差か、と言われれば、やや疑問符の残る内容ではあった。

モントセラトは、現在、ランキング166位とジャンプアップを果たしており、
ブータンは大きく水をあけられているのだが…
もはや、ランキング150位以下は大した意味を持たないとも言われているので、
実際に再戦した場合には、どのような結果になるのかは未知数である。

この試合は、なぜか日本とオランダの合作で、ドキュメンタリー映画化されている。
もし関心のある方は、ご鑑賞いただきたい。
http://www.amazon.co.jp/dp/B0000ABAOZ/

最後になるが、
実は、ブータン代表の歴代監督を日本人が務めていることを、
知っているという方は、果たしてどれだけいるだろうか。
行徳浩二氏(2008-2010)、松山博明氏(2010-2012)と引き継がれ、
現在は、小原一典氏(2012-)が指揮を執っている。

氏の略歴や活動概況が、日本サッカー協会のホームページに掲載されていたので、
こちらも、興味のある方は、ぜひご一読いただきたい。
http://www.jfa.or.jp/jfa/international/dispatch/report/ohara.html


ワールドカップ本大会において、強国同士がマッチアップする様は爽快であり、
今大会も、多くの記憶に残るスーパープレイが生まれることを期待したい。

と同時に、ブータンのような、サッカー弱小国においても、
日夜、ボールを蹴っているサッカー少年たちがいる。
今度、ブータンを訪れた際には、
ちょっと彼らに混じってボールを蹴ってみるのも悪くない。
そんな新たな楽しみに思いを馳せつつ、熱狂の1ヶ月を過ごそうと思う。

2014/06/14 12:00 | fujiwara | No Comments