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地球の舳先から vol.320
パリ2014編 vol.4
カジュアルでオープンなマレのスタジオ。
ダンスはクラシックバレエからアフロキューバンまで無数のレッスンが
10以上のスタジオで毎日行われていて、歌や演劇のコースもある。
劇場も併設されていて、コの字型の建物の中庭はカフェ。
メインの大スタジオにはこちらでは当然のごとくピアノが設置され
レッスンの生ピアノの音が響く。
年季の入った木製のバーはぼろぼろでたまに棘がささるし、
床もリノリウムじゃないけど、わたしは朝の眩しい陽光がたっぷり入るここが好き。
スタジオにはリストとかヴェートーヴェンとか、作曲家の名前がついている。
かすかに弯曲した硬い階段をあがる。
ここには日本人だからと特異がられる空気もない。
年齢層はそれこそ、20代から60台まで。
「会ったことあるよね?」
ジェスチャー込みで、ぎりぎり、そう言われたことがわかった。
日本びいきで、ラテンアメリカ生活が長かったからなのか
ユーモアのセンスもまるでラテン人のフレデリック先生。
「マエー」とか「ハンタイー」とか、たまに日本語で指示を出す。
当然、ほかのフランス人の生徒さんはわからなくなるわけだが、
みんな迷惑がるでもなく、可笑しそうに微笑む。
先生は、ノッてくると、ピアノに合わせてオペラを本気で歌い始める。
国境だけじゃなく、バレエはいろんなものを越えていく。
体が軽くなって、よく動いた。
音楽が、素直に体に入ってくる。
おなじオープンスタジオで比較しても、
日本のバレエ社会は、やはりどこかしら封建的だと思ってしまう。
コワい先生、よくわからない派閥、自分より上か下かを格付ける周りの視線。
自然と、内に閉じこもり、自分だけを見つめるようにして、心身の安定をはかる。
踊る喜びよりも、終わりの無い鍛錬…
そういう部分が、少なからずやっぱりあるのだろう、と思わざるを得ないほどに
ここへ来ると、自然に還って「踊れる」のだった。
ちなみに、更衣室は男女一緒。
何を隠すわけでもなく、談笑しながら全裸着替えがあたりまえである。
(ちなみにスタジオのあるマレ地区は、同性愛の聖地でもあるらしい)
確かに踊る人間にとって、肉体は、性的なものはほとんど感じず
機能というか道具のようなものなのだが…
やっぱり、バレエはいろんなものを越えていく、…のだろう…。