« 福島と原発と美味しんぼ その2 | Home | 2014/5/18(日)広尾商店街のお祭り【大マグロ祭】が毎年Cubaになっちゃう件!! »
渋滞にイライラしつつ待ち合わせの時間より10分遅れて駅に到着した。
高崎駅は10代のころよく使っていたのだが、ここ20年の間に開発が進み、
懐かしさを感じる面影が無くなってきていることが、少し寂しい。
駅を降りて東口、改札抜けて駅を出たところの右手側の階段を下り、
少し歩いて路地に入ったところにコンビニがある。
そこで待ち合わせだ。
車を横付けするとすぐにこちらに気付き駆け寄ってきた。
穿きこんだジーンズに黒のスウェットパーカー、
頭には布きれみたいなおかしな帽子をかぶっている。
日に焼けた肌に筋肉質の身体、一見精悍な印象を受けるが、
まるで引っ込み思案なこどものような話し方をするので、
久々に会うと混乱してしまうが、すぐに慣れた。
さて、なべさんはコーヒーが大好きだ。
帰り道から少しそれるが、おいしいコーヒーが飲める店によ寄る。
詳しくは知らないが、東京の有名店で修行した人が開いた店なんだそうで、
日本全国でも、なかなかそこまでの店はないんだとか。
コーヒーが運ばれてくるまで、共通の友人たちの話題など、他愛もない話をした。
「ところでさあ、なべさんもラインやりなよ。みんなと連絡取る時、速いし楽だよ。」
「ん ラインて何?」
「あれ?なべさんガラケーだっけ?スマホだよね?」
「が、がらけい?」
「あー … 電話見せて。なんだスマホじゃん。なんつうか、チャットだ。みんなで一斉にできるやつ。やらない?」
「こ、これでできるの!?」
「アプリ入れなきゃだけど。登録して。メールも電話もタダでできるようになるし。」
「えっと、、あの、、、怖くない?」
「何が?」
「変なメール来るとか…」
「んなもん来てもシカトすりゃいんだよ。」
「……」
「ええっと、や、イヤならいいんだけどさ。みんなでよく一斉にメール流して連絡とるじゃん?そういう時に楽だし速いし、通話もできるから便利だと思っただけだよ。」
「……月額いくらなの?」
「え?タダだよ?」
「………」
「おいおい黙るなよ。こっちがあやしい勧誘してるみたいじゃんか!」
「…………」
ここで美味しいコーヒーが来た。
お店の人からは、ねずみ講の誘いに見えたに違いない。
なべさんを何かに誘ったり、なべさんに何かを説明する時は細心の注意を払わねばならない。
それが、なべさんにとって不要なものと判断された場合、かならずこの空気になるからだ。
実例として、なべさんは都内に住んでいた時もあり、現在も都内に職場があるのに、suicaを持っていない。
僕を含む何人もの友人たちが勧めても、上記のような空気を作られ、敗北した。
……頑なな男なのだ。
コーヒーが運ばれてくると、途端になべさんは上機嫌になり、
鼻をカップに近づけて香りを嗅ぎまくった。
「あぁ…ほうじゅ~ん♪」
すこしイラッとした。
なべさんはかつてコーヒーの焙煎士をしていたこともあり、
僕ら素人よりもそのコーヒーがなぜ美味しいのか理解することができる。
満足そうに2杯目をおかわりしていたので、僕も嬉しかった。
小腹の空いた僕らの次の予定はラーメンだ。
ちょうど桜が満開というシチュエーションだったので、
道の両側に桜が満開に咲き誇る道を選び、夜桜のトンネルを桜吹雪を浴びながら進んだ。
「どうだい?なべさん。サイコーだろ。」
「んはぁーーー こっ いはぁーー」
なべさんは歓喜の雄叫びで返答している。
周辺の景色から街の明かりが無くなり、闇の広がる田舎道を僕らはさらに北上。
おいしいラーメン屋を目指す。
(続く)
妻。6時間経過。
粗がはっきりとしたので、修正しつつ描き進める。
色、作業(手数)を描くことで貯めたい。