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「ピアノを弾いてます」と言うと「お嬢様ですか?」なんて言われることもあって大抵は優雅なもの、というイメージを持たれているようです。でも実は体力も使うし、筋肉も使うし、ジャズになると初見でコードを読んでアドリブを考え、他の人のアドリブに瞬時に反応する集中力も必要になります。座っているけどなかなかに重労働です。一種の運動と言っても良いかもしれません。このコラムの題名「鍵盤の下のバタ足」にはちょっとそういうことも含めてあったりします。
体力的な部分だけでなく、難しいフレーズやパッセージを弾きこなすため、いい音色を出すためには、ピアノに向かう姿勢から肩、腕、手首、指の使い方や力の入れ方にもコツがあります。つまり「フォーム」を整えないといけないのです。そう言った意味でも「ピアノを含めた楽器演奏は運動と同じ」だと思っています。
よく出来ないフレーズをやたらと繰り返し練習すれば出来るようになる、と思われがちです。つまり練習は時間をかけなければいけない、ということにもつながります。しかし無闇に繰り返し練習するだけでは、その練習は一つの動作のため、一つのフレーズのため、だけのもので終わってしまいます。
運動ならあらゆる動きに対応することを可能にすること、つまり「思ったところに瞬時に身体が動く」これが楽器だと「浮かんだフレーズを瞬時に指で表現できるようにする」ためのものになります。そのために、まず「フォームを整える」ことが重要になってきます。もちろんフォームが悪くても何度も繰り返し練習すればフレーズは弾けるかもしれない、大きな音も鳴るかもしれない。でもどこかで余計な力ごかかって、手首や身体を痛めたりする人も少なくありません。
ピアノに対してどの椅子の高さ、距離でどの位置で座ってどのような姿勢を取ると1番無理なく良い音が出るのか、探してみましょう。そしてそれを覚えて繰り返して自分のものにします。
小さい頃から、自分の全体重を乗せるように、身体を使って弾きなさい、と言われながも脱力しなさい、と言われてかなり混乱しましたが、結局その両方は両立するものとわかるにはちょっと時間がかかりました。でもおかげさまで毎日ほぼ休みなく本番をこなし、ドラムや電子楽器などの大音量と格闘しながらも(笑)今まで腱鞘炎にもならず無事に演奏を続けていられるのも、小さい頃から習った「フォームを大切にする」ことを心掛けているからだと思います。
こんなこと書いてますが、運動は嫌いで全くできません(笑)悪しからず!