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2011/03/14

先週末より全くインターネットに接続しておりませんでしたので、今更ながら今回の地震、津波の被害の恐ろしさを覚えておりますトンガの鈴木です。こちらでも津波警報および避難勧告が出されまして、一応避難しましたが、幸いトンガは無傷でした。

まずは何よりも、被災された方々へ、心よりお悔やみ申し上げます。トンガでは、日曜日のミサ(キリスト教の礼拝)では特別に日本の地震、津波被災者のための祈りが行われました。日本から離れて生活する人間にとって、今できることは祈ることだけ。極力無関心にならないよう祈りつづけたいと思います。

さて、私は、今年でオセアニア生活7年目に入ります。2004年から2007年までソロモン諸島に、2008年からは今いるトンガ王国。実は両国共に地震大国でして、自分は体験してませんが、滞在中、国内はマグニチュード8越えを2回体験しております。そして、国内津波被害が2回。(ついでに海底火山噴火一度)そして、スマトラ島の大地震と、この間のNZでの大地震。一昨年はサモアとトンガの北部で地震と津波の被害もありました。

実はインドネシア、PNG、ソロモン諸島、フィジー、サモア、トンガ、NZという一連の南太平洋諸国は、オーストラリアプレートと太平洋プレートの境目に、インドネシアはユーラシアプレートとの境に位置しておりまして、単純にその境目付近では地震が多発するそうです。(逆にプレートのど真ん中は地震が通常起きない…)日本などは、ユーラシア、フィリピン海、北アメリカといった三つのプレートの境目になってるみたいです。

ま、そういうことは専門的なページに任せるとして、地震で思い出すことを一つ書いて見たいと思います。

2007年4月、ソロモンのウエスタン州をマグニチュード8強の地震が起きました。僕はガダルカナル州に住んでまして、飛行機で4、50分ほどの距離。ガダルカナルでの体感はほとんどなかったですが、ただ、ものすごくゆっくりとした、船に乗っているような長い揺れでした。というわけで、何も気に留めていなかったのですが、「ギゾ(ソロモンのリゾート地)を津波が襲ってダメージ受けてる」という話をきき、まったく驚いた次第でした。 僕が勤務していた学校は、経営母体(本部イタリア)からの緊急援助を受けまして、被災地に救援物資を運ぶプロジェクトをたて、船をチャーターして被災地に向かいました。

で、そこで目にした風景は、とんでもない津波の傷跡。日本からの津波専門家と会いまして話を聞いて見たところ、最大のウォーターマークは9mとか…。僕が被災地に入ったのは3日目でしたが、崩壊した村々は当たり前として、何より被災した人々の心を襲うダメージでした。そんな中、僕等は救援物資の第一弾として、直接村人の手元へ届けることが出来たのはまずまずの機動力だったと思います。後から話に聞くと、赤十字などのオフィシャルな団体の機動力の悪さ、そして何より救援物資の不均衡な分配方法に対する不満の爆発でした。日本では決してそういうことが起こらないことを望みます。

さて、僕はその後10日ほど一人でその地に残り、カトリックの修道会に当時所属していましたので、カトリック教会関係のところでお世話になりまして、当地を回りました。

で、何をしていたかというと、実はその頃手品に興味持ち始めたころで、一人部屋の中で手品の練習に明け暮れてまして、船の中で、生徒に見せてやろう程度に手品グッズを持参してましたら、これがいきなり被災地で実力を発揮。非常に多くの方に喜んでいただきました。一度など人があふれて、道路封鎖近くなり、警察官たちがビックリして飛び出してきて…。というわけで手品を止めようと思ったら警察官が「交通の方はこっちでやるから手品やってろ!後から警察で手品しろよ!」と(爆)そんなわけで、ちょっとその町で有名になってしまいまして、道路から始まり、マーケット、病院、学校、警察、避難所、教会と人が集まりそうな場所で、勝手に「ガンバレ、ギゾ!ガンバレ被災者!マジックショー」を一人で展開してました。

別にそのことを自慢するわけではありませんが、ふと思ったことは、こういうボランティアもあっていいのではないか?。行政面から、医療から、教育からと様々なサポート(主に物的に)が入りますが、こういったエンタメ的なものも必要なのではないか?物理的に被害を受けているのは確かだし、その必要も確かです。でも、同時に彼らの心にも深いダメージを受けています。ギゾの村の避難民たちは「命からがら逃げてきた。自分の村は海岸沿いで津波に持っていかれた。とても海が怖くて戻れない!」とトラウマを抱える人々がいました。なので、内面、「不謹慎では???」と自問もしましたが、実際にその時だけでも、辛いことを忘れてくれることが出きるんなら、それもあり!とやってましたし、結果、いろんな人の顔に笑顔が見れたのはよかったです。

現在僕はトンガにいまして、歯痒いくらいどうすることも出来ませんが、これから日本の皆さんは全力で復興への道を歩み始めるのでしょう。遠く南の島から全力で応援します。毎日応援します。

ガンバレ、日本!
ガンバレ、東北!

2011/03/14 05:31 | suzuki | No Comments