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冬の森の夜は
どこまでも透明な月のまなざしの下
誰も知らない秘密の場所
私たちが駆け抜けた道を雪の妖精が隠す
チェックインは
森の冷たい冬を身体に満たすだけ
それだけで
生まれ変わりすてきな朝をむかえる
冬の森の朝は
どこまでも優しい蒼い空の下
静かで何も無い庭
冬紫陽花が秋に疲れはてたのか
蒼い空の下
風が誘っても眠りから覚めることもなく
冬の森の朝に
コートのポケットに両手を入れた君は
ベランダで
ぼんやり冬を眺めている私の前を
生クリーム色の雲の上を歩いていけそう
冬の森の中をどこまでも
白い雪道
いつからか帰り道を忘れたように
冬の森の朝に
目を合わさず
言葉さえ交わすことなく
私の白い息と
君の白い息だけが
冬の森の中で語り合う
冬の森の朝
まるで長い年月を一緒に生きたかのように
もう喧嘩もすることなく
数えきれないほどの夜をやり過ごし
言葉すらいらない
君は雪のなかに
鳥の餌台を探し出し
長い梯子を蒼い空にかけて
餌を置く
いつまでも空を見上げたまま
風の話しに耳を傾け
優しくうなずく
夢の間を流れる風に
君は昔からの友達のように話し始める
誰にも聞こえないように
こうしていられることが嬉しいの
何も無い冬の森の中を散歩するのが楽しいの
だって散歩してないと
歩くこと忘れそうで
人生は短すぎるは
忙しくしてたら
あなたに会うことすら忘れそうで
もっと人生を短くするだけ
想い出だって思い出すことなく終わってしまいそう
この森はすてきよ
ここで一日をゆっくりあなたと過ごすと
私の一日が長くなるの
冬の森では
庭仕事はしないの
ただ森の中をゆっくり歩くだけ
この森にすむあなたに会いたくて
ほら
空を見上げて
蒼い空に奇麗な絵が浮かんでいるでしょ
蒼い空だけじゃ寂しいじゃない
葉が落ちた冬の木だけじゃ哀しいじゃない
私は人生を楽しむ為に生まれて来たの
だから冬の空を見上げた朝に
嬉しくなるように
空に絵を描いてもらったの
どんなに悲しいことが私を連れ去ろうとしても
私には止める事が出来ないの
私にできることは
楽しい時間を作ることだけなの
真剣に生きていないわけじゃないのよ
最悪なのは
楽しいことを見つけられないことね
風の流れに身を委ねられないことね
あなたとお話し出来ないことね
だから私は楽しむ為に生きるの
ほら
小鳥たちが餌を食べに来たでしょ
小鳥たちは御礼に
奇麗な声で鳴いてくれるの
それだけで私は幸せになれるの
だからこの冬の森が好きなの
この森に住むあなたに会いたいの
小鳥たちは鳴き声を私に届ける為に生まれ
私はそれを楽しむ為に生まれたの
私はそれを感じるために
ゆっくり生きるの
朝日が森の中に射込み
君の頬を照らすと
夢から覚めたように
君が私に話しかけ始めます
蒼い空にかけた梯子を
降りるように