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2013/10/31

私が代表を務めさせて頂いている京都サポートハウスでは、難病患者さんの付き添いのご家族が安心して滞在できるハウスを運営しています。

家族が病気になると、家族(ケースによっては一族)が金銭的にも、精神的にも大きな負担を抱えますから、そういう方の負担を少しでも軽減したいと考え、利用料を1泊1000円に設定しています。社会全体からみれば小さな取り組みだとは思いますが、少しでも負担軽減に繋がればと思っています。

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今、40~50歳代の働き盛りの人が、親の介護を理由に離職するケースが増えています。

先にお話をした「難病」とは違い、「老い」はごくありふえた現象です。ですから、社会全体でこういう傾向が強くなっているということです。

2011年の政府の資料によると、介護をしながら働いている人は291万人です。そのうち40~50歳代は全体の6割。そのうち男性は4割です。

介護が原因で離職した人は10万人ですが、今後、増えることは間違いないでしょう。この年代は企業の中心をなしていますが、一旦離職してしまうと、再就職は困難です。また、介護中の収入はほとんど無い状態になりますから、結局社会全体で生活保護などの社会保障制度で、その家族を支えてゆかねばなりません。

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老いはごく自然なことなので、老いることを止めることはできません。今後、子どもの人数も減りますから介護の問題は今よりもっと深刻になるでしょう。それに、寿命は延びているので、例えば今から10年後の話としても、40~50歳代の人の介護はそのまま継続し、現在30歳代などの介護などは無縁の年代もそのうちに、同じような状況になることは明白です。

では、どうすればこういう状況を改善できるのでしょうか

ひとつは、介護保険制度をはじめ社会保障制度の充実を図ることはもっとも効果が大きいと思います。具体的には、介護をサポートしてくれるヘルパーやデイケアなどのサービスを提供してくれる事業への十分な支援を国がしてくれることが大切です。現在、介護度の低い(5段階で1~2)方を事業所が受け入れても、国からの報酬は最も重い要介護5の方にくらべ半分以下です。そのあたりを改善し、ヘルパーや職員への十分な給与保障も取り付ける必要があります。

また、今回私が訴えたいのは、「働く意味と働き方」の意識を変えるということです。ここで参考にしたいのが地方の農村部での事業所での働き方です。農村部では、サラリーマンとして働いている人の大半は、兼業農家です。従業員には農家としての役割もあり、その役割や立場に事業所は配慮しています。特に農繁期には、休みを取りやすいようにワーキングシェアリングの様な労働形態ががあたりまえに行われています。

介護が必要な親を持つ従業員に辞められて、大きな損失が発生してからでは遅いと思いますから、企業もこの問題については真剣に対策を練らないといけません。先に紹介した農村部での取り組みなどもそうですが、介護や子育て、病気の家族の付き添いなど当たり前に発生する人生のイベントに対処できるように社会全体で備えてゆく事と同時に、一部の家族(昭和は嫁と呼ばれる存在に丸投げ状態だったが)過重負担にならないよう、個人もきちんと対処する問題でもある。そういう意味で行くと、社会から孤立しないよう、普段から地域との結びつきを取ってゆかないと、事業所からも地域からもそして家族からも孤立した状態の中で介護をせねばならない。私はこういう状態を「孤立無援のロンリー介護」と呼んでいます。

あなたの老後の前に、親の老後をどう受け止めますか?

そのとき、あなたの会社や家族や地域の支援は期待できますか?

まずは、身近な人とそういう話をしてみましょう。

そこからスタートです。

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2013/10/31 11:17 | hamamoto | No Comments