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こんばんは、酒井孝祥です。
今回の今昔舞踊劇東京公演の中で一番きつかった日は、本番4日目だったと思います。
野外公演にとっての最大の敵は天候です。
当然ながら、雨の日に野外ステージは使用出来ません。
なんともタイミングが悪いことに、本番期間の真最中に台風が迫っているというではありませんか。
暴風雨が最も激しくなるのは、4日目の深夜から5日目の昼間にかけてという予報。
それに伴い、4日目はほぼ一日雨マークがついていました。
その日の朝目を覚ますと、そとは雨でした。
今日は野外舞台の使用は無理だと腹をくくり、頭の中で屋内会場のシミュレーションをしながら会場に向かいました。
ところが、会場に到着したあたりから、空が晴れてきました。
見た感じ、野外でいけそうな雰囲気です。
しかし、天気予報の数値データ上、突然雨が降ってくる可能性は否定出来ません。
その時点において、屋内の会場は、数日前に1回、探り探りで通し稽古をした以外に使用しておらず、はっきり言って要領が掴みきれていない状態だあったため、その日は、屋内会場での段取りを再確認するための場当たり稽古から始まりました。
同じ作品であっても、舞台の構造が全く違うため、出ハケの段取りや小道具の置き場などがだいぶ変わってくるのです。
その稽古時間も決して十分に取れるものではなく、かなりの早回しで進められました。
場当たり稽古が終わったその段階では、空は晴れていましたが、まだ最終ジャッジは出来ませんでした。
ですから、どちらの会場でもいけるように、ダブルスタンバイをしなければなりません。
雨が降る心配が全くない天候であったり、逆にどうにもならないほどの大雨であれば、その時点で、衣装・小道具・楽器等をいずれかの会場にスタンバイしておき、本番までの時間はゆっくりとメイクなどの諸準備に費やせます。
しかし、その日に限っては、最終決断が下されない限り、それらの搬入が一切始められない状態でした。
急な雨の可能性が否定出来ず、屋内会場で実施するという決断が下されたのは、本番開始の2時間前です。
そこからが大騒ぎです。
衣装・小道具・楽器などを全て搬入することと同時に、雨から野外舞台を守るために、舞台全体をブルーシートで覆う作業、そして、台風で飛ばされることを防ぐために楽屋や受付として設置されたテントを潰す作業なども並行して実施されました。
女子の出演者の中には、メイクに時間がかかる人もいるので、その作業から途中離脱してスタンバイを開始します。
そして、慌ただしい状況の中、屋内会場への客入れが始まりました。
今回の公演、野外舞台を楽しみに来て下さった方達が圧倒的多数かと思います。
我々の想いは一つ…そのお客様達に対し、野外舞台に劣らないクオリティの公演をお届けするということです。
前説のアナウンスのときに気が付いたのですが、自分の声がよく響きます。
そりゃそうです、野外と違い、周りに壁や天井があるのですから。
当たり前のことですが、屋内会場のメリットとして、野外よりも役者の台詞が聞き取りやすく、その分お客様が芝居に入り込みやすいということに気が付きました。
特に怪談などでの静かな場面においては、虫の鳴き声もないために、本当にシーンとなります。
それに、鑑賞中に虫や風に悩まされることもなく、気温も快適です。
僕のお客様の中で、昨年は屋内の会場で鑑賞して、今年は野外の会場で鑑賞した方がいらっしゃいますが、「中の会場の雰囲気も結構好きだったよ」と仰っていました。
我々が一番お見せしたかったのは野外舞台での公演でしたが、それにも決してひけを取らない、一味違ったものをお届け出来たのではないでしょうか。