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2013/09/11

2013年9月11日〜28日
古賀英樹写真展 「深入り」
WALD ART STUDIO 福岡市博多区千代

今日9月11日は僕の12年振りとなる写真展の初日.
約1年前から準備を進めて来て、無事にたどり着くことが出来ました.

まずはこのジャンクステージのコラムで、この報告が出来ることを
読者、関係者の皆様に向けて感謝したいと思います.

今回会場となったWALD ART STUDIOは2003年に開催された
現代アートのグループ作品展「Apartment」に出展させていただいた
場所でもあります.そして僕の作家経歴上ではその2003年のWALDを最後に
プッツリと作家活動の途切れる…そんな場所でもあります.

だから、僕の12年振りの写真展が、ここWALDであるというのは
すごく感慨深かったりもします.終わりであり始まりでもある、そんな場所.

誰でも生きてく中で誰かと誰かがいて、繋がったり途切れたり
近づいたり離れたりを繰り返して行くものです.
その時間の中でいろんなしがらみ、わだかまり…
そんなものと無縁でいることはなかなか出来ないものです.

始まるには始まりのための、また終わるには終わるだけの理由が
そこにはあります.だから、僕はこの個展が決まるに当たって
そこで表面に現れるだろうことを一つの覚悟として
今日を目指して来ました.彼我双方にとっても
むしろ思い出したくないものの方が多い..そういうものです.

初めからそう望んでいたわけではないけれど、
そういう通常の理念、感覚からは逸した場所、道に
僕は踏み込んでしまっていたと思うし、
そんなところへ巻き込んでしまうことになった方々が
幾人も居ることそれを見逃すことは出来ないのが現実です.
それはあれだけ充実し盛んに出来ていたはずの作家としての活動、
それを終息させてしまうだけの理由には充分なものです.

「いつまでもそこでそうしているつもりなのですか
そこだけに拘ってもう何にも出来ないのなら、ただのそれだけの人だということ
何もやらないのなら初めから何を語るべくも無いのでは」

うずくまったままどれだけかの時間が流れた中で
それでも僕に、そうして語りかけてくれる人たちも、
少ないけれど居てくれました.
多数派の中で少数意見を口にするのは勇気がいることです.
そうまでして僕に作品をと、言ってくれる人たちがいてくれる.

僕がこれからまだ写真をやるというのなら、
もうこれ以上誰かからの気持ちや想いを裏切ったり、
眼を逸らしたりすることは出来ない.そういうところに来てもいました.

深入りしてしまった自分、深入りさせてしまった人たち…
過去を贖うことは出来るはずもないけれど
「これから」を僕に向けてくれる人たちへ僕がやれること.
それが「WALDで写真展する」という意味であり、出した答えでもありました.

今日9月11日から28日までの20日間は
消せない過去の劫掠の様な罪深さと、
そこからなお(図々しく)未来を見出そうとする自分と
相違う自分を向き合わせながらの日々になります.

写真展「深入り」はそれに相応しい作品に仕上げられたと思います.

ここへ導いてくれた全ての人たち、痛く厳しく、激しい現場でカタチとなった
被写体の方々の想い、このコラムやブログ、そして夜葉を通じて
寄せてもらえた全国からのお気持ち、言葉へ、僕が返せるものは
20日間の写真展…たったこれだけしかないけれど、
何かを残し伝えられたなら…これ以上望むものはありません.

コラムで各地の遠方から、観たいけれど行けなくてとの
声をいただき、申し訳なさと感謝に堪えません.
けどこの展示を終えて「いつか、きっと」と言える僕になれたなら…
そこで必ず、お逢いしましょう.

2013.9.11. 古賀英樹

2013/09/11 10:44 | hideki | No Comments