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そっと足を踏み入れると、
地面は奇麗に藁で覆われて、
そこはまるでベットの様に柔らかく、
青々とした葉は胸の高さまで伸び、
水滴で縁取りされた葉をそっと手でかき分けて、
柔らかな地面から咲いた薄黄色い花を見つけるや否やしゃがみ込み、
後は柔らかな地面の中に手を差し入れて、
薄黄色い花の咲いているふっくらと固い莟をもぎ取るだけです、
畑全体が食をそそるようなジンジャーの香りで噎せ返るようです
赤い莟は群生しているので、
一旦しゃがんだら、
後は手の届く範囲の茗荷を取り続けるだけです、
例え濡れた落ち葉が手に絡んで来ようとも、
足元がぐしょぐしょになろうとも、
地面から直接咲いている、
薄黄色い花を探してはその莟を取るだけです、
近所でママと娘の声が聞こえていますが、
皆、しゃがんで、
薄黄色い花の莟を取るのに一生懸命で、
誰がどこにいるのか分からないまま、
私たち家族は、
茗荷畑で、
花が咲いてしまい、
売り物にならない茗荷を、
取りまくっております、
昔、始めて茗荷畑を目にした時に、
誰がこんなところにティッシュペーパーを捨てるんだろうと思って、
思わず地面に落ちていたティッシュを拾おうとしてしゃがんでみると、
なんとそれは茗荷の花でした、
葉の陰で光がまったく入らない場所で、
茗荷の花は、
蝶にも会うことなく、
蜂たちにも会うことなく、
受粉することもなく、
ひっそりと咲いておりました、
売り物にならない花の咲いた茗荷、
なんて愛おしい花なんでしょうか、
山の庭でチェーンソーを持って作業をしていると、
管理人が遊びに来るなり、
売り物にならない茗荷があるけど食べるかと言い出します、
あそこの畑の右の林の置くにある茗荷畑、
うちはもう取ったから、
もし食べるんだったら全部取っても良いぞ、
なんて山の人は心が豊なのでしょうか!
ただし、茗荷畑に入る時は、
着ているものも靴も総て新しいものしてから入るようにな、
昔この地域は、
『茗荷の里』と言われていたのに、
イノシシが現れて、
そこら中の畑を歩き回った後に茗荷畑に入り、
土の中のミミズを食べるもんだから、
ほとんどの茗荷畑が病気になってしまい、
今は全盛期の1/3程度しか取れなくなったのさ、
茗荷畑に入る時は、
必ず新しい服を着てくれよな、
そうこうしていると、
畑に行っていたママが帰ってきました、
トランクを開けるなり、
ビニール袋にぎゅうぎゅうに、
インゲン、茄子、トマト、が押し込まれています、
畑に行ったらさ、
隣のおばさんがインゲンのフレームをかたずけるから、
インゲンが欲しかったら全部持って良いよって言うからさ、
私、ビニールに入るだけ貰ってきたよ、
そしたら茄子もトマトもくれたんだ、
山の畑って、
私、野菜作ってないのに、
畑に行くだびに誰かが野菜くれるから好きよと言いながら、
管理人さんに、
コーヒーを差し出しています、
私が、もう止めたと大声を出し立ち上がると、
茗荷畑の5m先からママが立ち上がり、
私の後ろの方から遅れて娘が立ち上がり、
茗荷畑の端の方で山友2号の奥さんが立ち上がります、
皆、着ているものはびしょびしょ、
片方の手にはビニール袋に花の付いた茗荷がぎっしり、
皆、茗荷を取るのに一生懸命だったせいなのか、
言葉少なに茗荷畑を出て、
林道まで黙って歩いています、
林道まで出ると、
ママが乾いた地面の足元に落ちている、
青い毬栗を見つけるやいなや、
今度は皆で栗拾いだねと一言、
なんて欲深い家族なのでしょうか!!
今朝起きると、
朝食に茗荷の甘酢漬け、
ン〜〜〜〜〜〜、
今回の花の付いた茗荷は、
妙に美味しく、
食をそそるような、
ジンジャーの香りで頭の中が、
噎せ返るようです。