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こんばんは、酒井孝祥です。
今昔舞踊劇の東京公演本番まで1ヶ月を切りました。
酒井が日本舞踊の名取で、毎年“舞踊劇”と名のつく公演に出ていると聞けば、客観的な印象として、身体を自由自在にコントロール出来、振付などもあっという間に覚えてしまうんだろう…という印象を持たれる方が多いかと思います。
ところが、現実には全く逆です。
非常に矛盾していると思われるでしょうが、酒井は身体表現も振り覚えも大の苦手です。
自分が主観的にこう動いていると思う形が、客観的にはその様に動いておらず、それを修正されてもなかなか直らずに、直ってもまた元に戻ったりで、人一倍どころか、人五倍くらい時間がかかります。
それこそ幼稚園のお遊戯会でまともに振りを覚えて最後まで踊れた記憶がなく、小学校の運動会のダンスの練習は苦痛でしかありませんでした。
じゃあ、なぜあなたはそんなに踊りが苦手なのに、日本舞踊の名取になれたの…と問われれば、答えは1つです。
やめなかったからです。
酒井が初めて日本舞踊に触れた劇団の研究所の同期、1つ上の期、1つ下の期をひっくるめて30人近くはいたと思いますが、その中で、未だに日本舞踊を続けているのは、酒井1人だけです。
研究所を卒業してから先生に弟子入りした人も少なからずいましたが、皆、それぞれの事情でやめていきました。
2年前に初めて今昔舞踊劇に出たときも、日本舞踊キャリアの長いお客様より、瞬間的にポーズが決まったときの形などは、酒井が古典をちゃんと勉強していることが裏付けられるとコメントをいただき、やはり続けることには意味があると思いました。
稽古がなかなか上手くいかないと、いっそのこと、自分がいない方がこの公演は良くなるのではないか…
自己の存在を否定したくもなります。
そう思ったときに、それでやめてしまえば、そこで終わりです。
これまで、そういう場面に何度も直面してもやめませんでした。
やめなければ、結果は出るしかなくなります。
ですから、今昔舞踊劇の稽古も、どんなに自分がいたたまれなくなる日があっても、決してやめません。
踊りが苦手な人間が踊りをやるという矛盾は、継続でしか克服出来ません。