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こんにちは、諒です。
前回、タケミカヅチの「あぐら」の話を書いて、もう少し詳しく続きを…と思っているのですが、例によって余裕のない(自滅)毎日を送っているために、なかなか調査が進みません。
そこで、今回は「あぐら」の項を書くために参考にした本から、面白いなーと思ったことを、ひとつ。
日本人の坐り方を、通史的に取り扱った著作のひとつに、矢田部英正『日本人の坐り方』(2011.2)という集英社新書があります。坐り方やそれに対する認識は、時代によって異なりますが(例えば、現在の正座が公において「正しい」坐り方だと認められるようになったのは、江戸時代以降のことと言われています)、著者は、昔の日本人のそれを、絵巻や図像、仏像、写真などから収集し、身体技法の問題として捉えつつ、考察しています。本書に特徴的だと思われるのは、坐り方における関節の使い方が諸所に示されていることです。絵巻などを観ていると時々、こんな曲がり方無理でしょう!と思われるような格好をしている人物や、こんな恰好で坐っているのに笑っていられないよ!と突っ込みたくなるような人物が描かれていたりします。足を広げ足裏を向かい合わせにしている坐像とか、中腰で主人を待って談笑している男たちの画とかです。
これを、現代人の感覚だと、ただ画家の技量の問題と考えがちなところですが、著者は古い写真から、同じような格好の人物を探してきて、習慣による身体技能の問題、即ち股や足首の関節が習慣によって非常に柔軟になり、我々からすると無理のような姿勢も可能であったことを証拠付けるのです。身体技能が坐り方とどう関わるのか、写真の坐り方のどこがポイントか、わかりやすく説明されていて、面白いです。新書で読みやすいので、読書にもおススメの一冊です。