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窓のカーテンを開けたとたんに、
彼女の表情は一変した、
瞬きもしなければ、
まったく身動きすることも出来なくなったらしい、
窓の外一面に広がる初夏の森、
小鳥のさえずり、
しかも2階の窓から森を見下ろす景色、
彼女が生まれて始めて味わった光景かもしれない、
いつまでも森に見とれていた彼女、
『ロッティ』、
ママが呼ぶ声でやっと気がついたのだろうか、
彼女はやっと一つ瞬きをした、
これが今自分がいる世界、
そんな事を考えているのだろうか、
彼女は生まれてからというもの、
狭い部屋と、
冷たい檻の中、
そして歩道に咲く草花、
そんな世界だけを見て育った彼女、
今、自分の目の前に広がっている世界、
どこまでも森が続く世界、
自分がこんな世界に生まれていた事を、
あらためて気がついたような、
顔つきだった、
ロッティが私たちの家に引き取られてから3週間が経ち、
ロッティの正式譲渡も終わり、
晴れてロッティが我が家の家族となり、
彼女の週末の森の生活が始まった、
昨夜は車に乗せられて夜の街を走り、
眠りについた暗い森をの中を走り、
いつもとは違う小屋に連れて来られた、
ドアを開けて小屋に入るなり、
しばらくの間小屋の中の隅々まで臭いを嗅いで、
ここが自分に取って安全な場所なのか、
身体全体で感じ取ろうとしていた、
ここがどこでどんな場所なのかも知らないまま、
新しい家族の布団の上をジャンプしながら遊んで、
そして皆と一緒に眠りについた、
朝日が部屋の仲に射込むと、
ママが窓の方にロッティを呼ぶと、
彼女の目は窓の外の世界に釘付けになった、
あまりにも感動的な森が目の前に広がっていた、
ママと一緒に森の中を散歩してみた、
草は朝露に練れて足元を濡らしたが、
フカフカの土の感触、
朽ち果てた古木の臭い、
気のほこらには今まで嗅いだ事のない獣の臭い、
空からは今まで聞いた事のない鳥の鳴き声、
食べれそうな草を見つけては、
口でちぎって食べてみた、
小さな虫が足元を歩いているので、
前足で叩いてみた、虫は動かなくなった、
なんだろう、ここは、
私の中で沸き上がってくるこの感情はなんなんだろう、
食事を済ませると、
今度はママが芝生のある広い場所に連れて行ってくれた、
私は力の限り走ってみた、
自分の足がどこまで動くのか知りたくて、
ただひたすら走ってみた、
誰にも怒られる事のない場所、
自分が自由になれる場所、
草の臭いが身体中に絡み付いて来た、
とても心地良い臭い、
とても楽しくて私は走り続けた、
立ち止まって空を見上げると、
蝉の声が聞こえていた
ママの顔を見上げると、
『リッティ、これは春蝉の声えよ!!』と、
ママが教えてくれた、
ママの笑顔を見ていると、
私は自分が今、
とても幸せになれた事に、
気ずき始めていた。